指導と門人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/26 04:48 UTC 版)
「ナディア・ブーランジェ」の記事における「指導と門人」の解説
ブーランジェが指導した分野は多岐にわたっており、和声法、対位法、楽曲分析、ソルフェージュ、スコアリーディング、伴奏法(ソルフェージュの応用)などである。しばしば門下生は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《平均律クラヴィーア曲集》を暗譜することと、しばしばバッハが行なっていたように、フーガを即興演奏できるようになることが要求された。また、弟子のひとりダニエル・バレンボイムは、ブーランジェは『平均律クラーヴィア曲集』の任意の曲を、指定された調性ですぐ弾くよう求めていたと回想している。 ブーランジェ自身も、また助手で友人のアネット・ディウドネ(Annette Dieudonné)も門人については記録を遺していない。さらに、ブーランジェに個人指導を受けた人物について消息をはっきりさせることはほとんど不可能である。いずれにせよ世界各国から非常に数多くの学生を集め、ヨーロッパは言うに及ばず、アメリカ合衆国からは600人以上の音楽家がブーランジェの指導を受けており、さらにオーストラリア、カナダ、トルコ、極東からも学生を集めた。 1920年代に指導した学生は大半がアメリカ人作曲家であった。アーロン・コープランドやウォルター・ピストン、ロイ・ハリス、ヴァージル・トムソンらは帰国後に、ブーランジェの指導に基づいて新しい楽派(新古典主義音楽)を確立したのである。ヴァージル・トムソンは、アメリカ合衆国の各都市には安物雑貨屋とブーランジェの弟子がごろごろしている、と言ったことがあるが、たぶんブーランジェとその門人は、頻繁にアメリカ音楽を普及させたので、フランス国内よりもむしろ国外の作曲家に重宝がられたということであろう。ナディア・ブーランジェの指導力は、西側の楽壇にほとんど絶え間なく浸透したのである。
※この「指導と門人」の解説は、「ナディア・ブーランジェ」の解説の一部です。
「指導と門人」を含む「ナディア・ブーランジェ」の記事については、「ナディア・ブーランジェ」の概要を参照ください。
- 指導と門人のページへのリンク