抵当権の譲渡・放棄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/09/25 12:04 UTC 版)
抵当権者が同一の債務者に対する他の債権者(この場合は一般債権者)の利益のためにその抵当権を譲渡若しくは放棄すること(376条1項後段)。 附記登記が対抗要件であり(376条2項)、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗するためには、467条の規定に従い、主たる債務者へ通知又はその承諾が必要である(377条2項)。 抵当権の譲渡の場合、処分者の優先弁済枠が受益者の債権額の限度で受益者の優先弁済枠になり、処分者の優先弁済受領可能額はその残額部分に減少する。例えばAの1番抵当権200万円、Bの2番抵当権500万円が設定されている不動産につき、Aの1番抵当権200万円が一般債権者C(300万円)に譲渡されると、Aはその限度で無担保債権者となり、CはAの1番抵当権の優先弁済権の範囲で優先配当が受けられる。この不動産が競売で600万円で売却された場合には、競売費用を考えないと、Aは0円、Cは200万円、Bは400万円の配当となる。 抵当権の放棄の場合、処分者の優先弁済枠を処分者と受益者が債権額に応じていわば準共有することになる。競売配当の時には、放棄者が元々持っていた優先弁済額が放棄者と受益者との債権額に比例按分して配当される。例えばAの1番抵当権200万円、Bの2番抵当権500万円が設定されている不動産につき、Aの1番抵当権200万円が一般債権者C(300万円)に放棄されると、この不動産が競売で600万円で売却された場合には、競売費用を考えないと、Aは80万円、Cは120万円、Bは400万円の配当となる。
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