抵当権消滅請求における第三取得者の権利及び義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 07:50 UTC 版)
「抵当権の消滅」の記事における「抵当権消滅請求における第三取得者の権利及び義務」の解説
第三取得者とは、抵当不動産について所有権を取得した第三者の事をいう。 不動産売買は、当該契約の締結した時点で所有権が移転するのが原則である(176条、但し特約で別段の合意は可能)。 抵当権消滅請求の制度は、第三取得者を保護するための制度であるから、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない(第380条)。 また、抵当権者の地位の安定のため、抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない(381条)。 抵当権消滅請求の手続きとしては、登記をした各債権者に対し、383条各号に掲げる書面を送付する必要がある(第383条)。 第三取得者の権利 不動産は売買契約の成立と同時に、原則当該契約に基づき抵当権の負担のついた所有権を取得する。 第三取得者の義務 代価弁済に必要な文書に関する一切の手続をする義務を負う。 抵当権消滅に必要な代価を直接確認する義務を負う。債権者の確認書の取得を必要とする。 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在、及び代価その他取得者の負担を記載した書面 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る) 債権者が2ヶ月以内に抵当権を実行して競売の申立をしないときは、抵当不動産の第三取得者が1に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面 抵当権請求の時期的限界: 抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に抵当権消滅の請求をしなければならない(382条)。 登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する(第386条)。債権者のみなし承諾規定の存在につき384条参照。
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