抜け目のない法官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「抜け目のない法官」の解説
昔、カイロに法官(カーディー)がいたが、不正を働いたため罷免された。元法官は法律知識を使って儲けようと思い、黒人奴隷に事件を起こすように言って町に行かせた。黒人奴隷は、ある男が町の公共竃屋に鵞鳥を焼いてもらうため預けたのを見て、鵞鳥が焼けた頃、その鵞鳥は自分の物だと言って竃屋から受け取った。そして、もし鵞鳥を預けた男が来たら、「鵞鳥が生き返って飛んで行った」と言うよう竃屋に言った。黒人奴隷は鵞鳥の肉を元法官の所に持って行き、2人で食べてしまった。 鵞鳥を預けた男が竃屋の所に鵞鳥を受け取りに来ると、竃屋の主人は「鵞鳥が生き返って飛んで行った」と言ったので、男は怒り、殴り合いの喧嘩になったが、ちょうど通りかかった妊婦にぶつかり、妊婦は流産してしまった。妊婦の親族たちは怒り、竃屋を追いかけ、竃屋は高い建物に逃げ込んだが、追い詰められて露台から落ち、下にいたマグリブ人にぶつかり、マグリブ人を殺してしまった。人々は竃屋の主人を捕まえ、法官がまだ罷免されたことを知らなかったので、黒人奴隷の案内で、元法官の屋敷に竃屋を連れて行った。 法官は裁判を行い、鵞鳥を預けた男に対し、アラーは死者を生き返らせると聖典にあるのに、鵞鳥が生き返ることを信じないのは不信心だと述べ、男の訴えを退けた。次に流産した妊婦の親族に対し、妊婦が妊娠6か月だったことから、流産した妊婦を竃屋に預け、妊娠6か月にして返すことで償わせると判決したので、妊婦の親族は訴えを取り下げた。死んだマグリブ人の親族に対し、復讐として高い塔から竃屋の上に飛び降り竃屋を殺せと判決したので、マグリブ人の親族は訴えを取り下げた。 法官の機智に富んだ判決の話は広まり、帝王の耳に達し、帝王は法官の罷免を取り消した。
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