抗血液凝固作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/29 06:02 UTC 版)
プロテインCは人体における抗血液凝固機構の主要な構成要素である。プロテインCはセリンプロテアーゼ前駆体であり、APCとなって第Va因子や第VIIIa因子のペプチド結合の分解を行う:2381。第Va因子と第VIIIa因子は、トロンビンの産生に関して強い凝固促進作用を持つコファクターで、血液凝固における重要な要素である。第Va因子と第VIIIa因子の不活性化に関与するコファクターには、プロテインS、第V因子、高密度リポタンパク質(英語版)、アニオン性リン脂質とスフィンゴ糖脂質(英語版)がある:3161。 第Va因子はプロトロンビンと第Xa因子(活性化第X因子)に結合し、トロンビンの産生速度を4桁(1万倍)のオーダーで増加させる。そのため、第Va因子の不活性化によってトロンビンの産生は事実上停止する。一方、第VIIIa因子は第Xa因子の産生のコファクターである。第VIIIa因子は第X因子の活性化を約20万倍増加させる。第VIII因子は抗血友病因子(anti-haemophilic factor)としても知られており、第VIII因子の欠乏は血友病Aの原因となる:2382,3。 APCは、第Va因子を3ヶ所(Arg306、Arg506、Arg679)で切断することとで不活性化を行う。Arg306とArg506の切断は第Xa因子への結合を低下させる。Arg306での切断反応の進行は遅いものの、第V因子の機能調節には必要である。プロテインSはArg306での切断を触媒することでこの過程を促進し、その結果第V因子のA2ドメインが解離する。プロテインSは第Xa因子にも結合し、第Xa因子による第Va因子不活性化過程の妨害を除去する:2386。 第VIIIa因子の不活性化についてはよく理解されていない。第VIIIa因子の半減期は、第IXa因子(活性化第IX因子)による安定化がない場合、約2分である。APCによる第VIIIa因子の不活性化の意義には一部から疑問が投げかけられており、第V因子やプロテインSがどの程度このタンパク質分解のコファクターとして機能しているかは未知である。APCが第VIIIa因子のArg336とArg562の2ヶ所を切断することが知られており、第VIIIa因子を不活性化して第VIIIi因子へ変換するためには、いずれかの切断で十分である:2387。
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