所有者の義務等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 03:08 UTC 版)
重要文化財の指定、管理、保護、公開等については、文化財保護法第3章「有形文化財」の第1節「重要文化財」(第27 – 第56条)に規定されている。ここでは重要文化財の日本国外への輸出禁止が明記され(第44条)、重要文化財の現状変更には文化庁長官の許可を要することとされている。 重要文化財の所有者には、文化財保護法、関係法令及び文化庁長官の指示に従い、当該重要文化財を管理する義務があり(第31条)、重要文化財の所有者や所在が変更した場合には文化庁長官へ届け出る義務がある(第32条、第34条)。重要文化財の修理及び公開は所有者が行うものとされているが(第34条の2、第47条の2)、所有者が管理や修理に要する費用を負担できない等、特別の事情がある場合は、政府から補助金を交付できるものと定めている(第35条)。 重要文化財は譲渡についても一定の制限がある。すなわち、重要文化財の所有者が当該重要文化財を有償で他へ譲渡しようとする時は、まず文化庁長官へ売り渡しの申し出をすることとされている(第46条)。一方、重要文化財の所有・譲渡・相続・贈与については、固定資産税、所得税、相続税、贈与税などの非課税や減免などの優遇措置が講じられている(租税特別措置法第34条、第40条の2など)。 一方で、競売による所有権移転については、想定外のこととして、規制の対象になっていない。たとえば2009年(平成21年)5月に円満院(滋賀県大津市)の重文指定の建物が競売にかけられる事態が起こっている。この件について、文化庁は「重文が競売で所有権が移転するのは好ましくない」とのコメントを出しており、何らかの規制が必要と考えられる。
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