所作や姿勢による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 02:57 UTC 版)
長揖 長揖(ちょうゆう)は、立場の低い人が高貴な人に向けて行う礼であり、拝礼に次いで丁寧な礼である。敬礼するときは直立し、手のひらを内側に向けて両手で拳を握り、額の高さまで掲げ、90度以上、地面に到達するまでお辞儀をする。 天揖 天揖は上揖ともいう。冠婚葬祭などの際に、新郎新婦や喪主や祭主が、長老などに向けて行う礼である。敬礼するときは直立し、手のひらを内側に向けて両手で拳を握り、約60度のお辞儀をする。お辞儀をするときに手を額より少し高く上げ、身体を起こすときに自然に手を下ろしたり、手を袖に隠した状態にする。 時揖 時揖(じゆう)は中揖(ちゅうゆう)ともいい、同輩が日常的に顔を合わせたり別れる際に用いる礼である。お辞儀をするときは直立し、両手は拳にして手のひらを下に向け、胸の位置から前に向けて水平に押し出し、約30度のお辞儀をする。身体を起こすときに自然に手を下ろしたり、手を袖に隠した状態にする。 土揖 土揖または下揖と称し、目上の者が目下の者に対し返礼する際に使用する。これを行う際には直立し、手のひらを内側に向けた状態で両手で拳を抱え、30度程度のお辞儀をし、手のひらを少し下げ、身体を起こす際には自然に手を垂らしたり、手を袖に隠した状態にする。 文武拳 中国武術に関する場合や、武人が試合前に行う拱手は、礼をする際に左足を一歩前に出し、右足は踵だけを床につける。外側になる手指は親指以外まっすぐに伸ばし、親指は少し曲げておく。これは「文」を表す。内側の手は握ってこぶしとし、これは「武」を表す。まっすぐ伸びた外側の手のひらを、握っている内側の拳の表面に密着させる。手のひらを外側に押し出し、その後自然に両手を下す。 以上の礼のうち、長揖は紀元前1世紀に成立した『史記』高祖本紀などに登場する。儒者の酈食其が当時楚の部将であった劉邦に会見した際、劉邦が侍女に足を洗わせていたため、これを無礼と感じた酈食其は本来すべき拝(ひざまずいてぬかずく)ではなく、長揖して抗議を行っている。唐の顔師古は『漢書』高帝紀につけた注釈で、この長揖を上げた手を地面まで下ろすこととしている。また、天揖・時揖・土揖は前漢期までには成立している『周礼』儀礼編にその名が見られる。
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