愛欲編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 00:06 UTC 版)
丸の内の一角、山カン横町のインチキビルに居を構える横井安太のもとに、青成瓢吉は、高見剛平、吹岡早雄とともに厄介になる。看板は、青年民主同盟と商文社である。夏村が、代議士丘部小次郎を利用するのに談判にいくというが、瓢吉は気持ちの整理がつかず、吹岡が厄介になっているという外房の暁角寺(勝浦市・妙音寺がモデル)を尋ねる。 そこに東京から芝居の一座がやってくる。その中に吉良の同郷の飲み込みの半助がいる。不忍キネマの経営不振で、この一座に入り込んだという、瓢吉の因縁浅からぬお袖を世話していたのも、彼だという。吹岡は、東京に去り、時を同じくして、世話になっていた寺の住職の妻も姿を消す。駆け落ちかと思われたが、瓢吉には真相はわからない。瓢吉も次いで、東京に戻る。高見は、コミンテルンのスパイの嫌疑で警察に勾留されていた。瓢吉は、お袖とよりを戻すが、先の見えない関係に戸惑いを隠せない。そんな中、新進作家竹野原丈一をめぐる若い文学青年たちの会合で、九州から上京してきた女流作家の卵、小岸照代と出会う。 瓢吉は照代と暮らし始めるが、海北ホテルに陣取って彼の書いた数編の原稿は、雑誌社に送る端から突っ返されてくる。やっと発表された作品は、酷評さらされ、照代の作品は彼女の前途をますます輝かしいものにしていくようで、瓢吉の心は晴れない。 そこに、照代が実は九州時代に既に婚約者がいて、ほとんど結婚する寸前まで行っていたのに、何も言わずに東京に出てきてしまったと告白。婚約者の熊木一郎が、ホテルに訪ねてくる。そこに居合わせた横井は、吹岡の紹介で、夕刊日報社に遊軍記者として勤めることになる。横井は、新聞社の上司から新進の女流作家、小岸照代が男と同棲しているらしいから、それをスッパ抜き記事にするよ命じられて、瓢吉のもとを訪れる。そこに関東大震災が起こる。混乱の東京から逃げてきた黒馬先生こと、戸田先生と再会。瓢吉は、戸田先生が満州で吉良常と一緒だったと聞き、吉良常の身を案じる。その頃、吉良常は吉良にいて、仁吉の墓参りをしている。そこへ半助が率いる芝居の一座が巡業にやってくる。ひとり、伊豆天城の温泉で、瓢吉を待つ照代は、瓢吉の友人を名乗る石上乱月と出会う。執拗な甘言を撥ね退けたところで、高園りんと知り合う。元芸鼓の光竜だった。
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