意思主義の採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:44 UTC 版)
日本の民法176条は「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」と定め、民法177条と民法178条では登記又は引渡しを第三者に対する対抗要件としている。民法176条が形式主義を採用していないことは確かであり、一般には意思主義に立ったものと理解されている。 意思主義の下でも例外的に所有権移転等の物権変動が契約成立時に生じない場合(当事者間に特約がある場合、不特定物売買で特定がなされていない場合、他人物売買の場合など)がある点に注意を要する。 また、先述のように日本法では対抗要件主義が採用されている。物権変動を第三者に対抗するためには対抗要件を備えなければならない。 不動産物権変動の対抗要件不動産物権変動の対抗要件について、民法は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(民法177条)と規定する(不動産物権変動の対抗要件は不動産登記である)。 動産物権変動の対抗要件動産物権変動の対抗要件について、民法は「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」(民法178条)と規定する。また、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」は一定の動産物権変動につき動産譲渡登記を認めている。したがって、動産物権変動の対抗要件は引渡しまたは動産譲渡登記である。ただし、船舶や自動車など特別の登記制度や登録制度のある動産については、各種特別法上の登記や登録が物権変動の対抗要件である(船舶登記や自動車登録など)。 慣習法上の対抗要件立木や未分離果実などについては慣習法上、「明認方法」と呼ばれる対抗要件が認められている。
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