意思主義と表示主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 14:09 UTC 版)
意思表示の有効性に関する立法上の立場には意思主義と表示主義がある。 意思主義は、表意者の保護を重視する立場で、表示行為に対応した内心的効果意思が存在することが意思表示にとって不可欠で、内心的効果意思を欠く表示行為は無効であるとする立場である。 表示主義は、取引の安全を重視する立場で、表示行為に対応した内心的効果意思がなくとも表示行為から推測される効果意思(表示上の効果意思という)が認められれば意思表示は有効であるとする立場である。 もっとも、表意者を保護するか取引の安全を重視するかは、現実的には問題となる類型に応じて立法的に解決している。
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意思主義と表示主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/12 00:17 UTC 版)
意思表示における意思主義とは、法律行為の際に表示行為から合理的に推測される効果意思と内心の真実の効果意思とが一致しない場合に、内心の効果意思に従うとする立法上または解釈上の立場または手法をいう。表示行為から合理的に推測される効果意思に従う表示主義に対置される。 私法に関するすべての立法と解釈において意思主義と表示主義の調和は重要な問題である。本来、法律行為は内心の意思の表示にほかならないと考えられ、内心の意欲こそが法律行為の有効性の要件と考えられた。意思主義を徹底することは、自らの意思によらずして義務を負わないとする私的自治の原則からは望ましい。しかし、資本主義経済の基礎となる商品流通が頻繁になるにしたがって相手方ないし一般取引社会の信頼の保護が必要となった。 元来、近代私法は社会秩序の基礎となる社会の期待の保護を任務としている。一般に経済行為において表示主義が強く妥当するとされ、特に取引の安全が重視される商事の立法と解釈において顕著である。他方、私有財産制を基礎とする近代法のもとではそのコロラリーとして個人の意思決定の自由の保障が要請される。表示主義の貫徹は、相手方の信頼を保護し取引の円滑・安全には資するが、ときに人の望まない法律関係の形成を認めることとなる。身分行為について意思主義が強く妥当するものとされる。
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