想定外の漂流ルート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 21:00 UTC 版)
「ナホトカ号重油流出事故」の記事における「想定外の漂流ルート」の解説
流出した大量の重油と船首は当初、日本海中央を対馬海流に乗り、北東方に流れると予想された。漂着前、船首部が福井県三国付近へ流れ着くことを予想していた者は少なかった。6日昼にも漂着の兆候は全く無かった。第八管区海上保安本部で現地対策本部長の職でもそうした予測はしていなかったし、漂着した7日の地元紙までが北陸での漂着しない旨の予測を掲載していた。後藤真太郎(当時金沢工業大学助教授)は風向きによっては漂着すると予想したがその根拠は直感に頼らざるをえなかった。しかしながら、1月の当該海域の平均海流を調べても陸向きのベクトルは少なく、これを用いて重油の漂着シミュレーションを行った結果、漂着しないという結果がでるのは自明であり、その結果を受けて「漂着しない」と新聞報道されたことが初動体制構築の遅れをもたらした。合成開口レーダで撮影された重油塊のデータがあるにもかかわらず使用されなかった。事故後アルゴスブイによる観測データを当たったところ現場海域は複雑な海流の流れ方をしていたという。 しかし、卓越した西風による表面流は海流の移動力を遥かに凌駕しており、最初の重油漂着は1月7日午前3時半、福井県坂井郡三国町(当時。現・坂井市三国町)安島の越前加賀海岸国定公園内の海岸であり、続いて島根県から石川県にかけての広い範囲にも重油が漂着した。なお、流出したのは積載されていた重油の一部、約6,240キロリットルであった。
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