想定される誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 14:31 UTC 版)
質量が太陽程度から太陽の数倍までの星の場合には、主系列星の後に赤色巨星の段階を経て、白色矮星となり次第に冷却して一生を終える。星が若い間は、水素の原子核が互いに結合してヘリウムが生まれる。この時のエネルギーによって星は自らの大きさを支えている。 質量が太陽の約8倍よりも重い星の場合は、巨星に進化した後も中心部で核融合によって次々に重い元素ができ、最終的に鉄からなる中心核が作られる。鉄の原子核は結合エネルギーが最も大きいため、これ以上の核融合反応は起こらず、星の中心部は熱源を失って重力収縮する。収縮が進むと鉄の原子核同士が重なり始め、陽子と電子が結合して中性子へ変化し、やがて星の中心部がほとんど中性子だけからなる核となる。この段階では核全体が中性子の縮退圧によって支えられるようになるため、重力収縮によって核に降り積もる物質は激しく跳ね返されて衝撃波が発生し一気に吹き飛ばされる。これが超新星爆発で、爆発の後には中性子からなる核が中性子星として残されるが、中性子星が光やX線を激しく放出するパルサーとなることもある。 質量が太陽の約30倍以上ある星の場合には、自己重力が中性子の核の縮退圧を凌駕(重力の強さで中性子が潰れ始める)するため、超新星爆発の後も核が収縮(重力崩壊)を続ける。この段階になると星の収縮を押し留めるものは何も無いため永久に縮み続ける。こうしてシュバルツシルト面より小さく収縮した天体がブラックホールである。
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