惑星直列の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 05:45 UTC 版)
『惑星直列』はそもそも天文学用語ではなく、科学的な意義はない。ただ、複数の明るい惑星が同時に観測好期を迎えることになるので、視覚的に目を引く現象ではある。また、宇宙探査機による、フライバイ(接近通過)式による惑星探査で、複数の惑星をいっぺんに対象とするのにも都合が良く、たとえばボイジャー計画は「175年に1回の機会」を捉えたものとされている。なお実際の惑星探査機は惑星に接近するたびに公転方向へスイングバイして螺旋状に飛行していくため、探査対象の惑星が同じ方向に一直線に並んでいたほうが都合が良いというのは直感的には分かりづらいかもしれないが、これは探査機が次の惑星に到着するまでに数か月から数年を要するため、その間にも惑星が公転しつづけていることが原因である。木星以遠へ向かう探査機は木星付近に遠日点を持つ長楕円軌道に投入されるのが普通であるため、スイングバイで次の惑星に届くまで遠日点を伸ばす必要がある。このとき公転方向に加速するため、次の惑星に到着するまでの時間にその惑星の公転を追いかけることができるというわけである。スイングバイで多少は方向の調節ができるとは言え、限度はあるので、結果的に打ち上げ時点では同じような方向に惑星が並んでいる状態が望ましいのである。 惑星が一直線に並ぶと多くの惑星の総合された重力が太陽に異変を起こし、地球にもその影響が及ぶとの主張があり、オカルト雑誌などで取り上げられることがある。しかし地球科学の立場からは、惑星直列による重力の変化は、月と太陽による潮汐の数十万分の一以下であるため、問題が起きる理由にはなり得ない。
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