情状鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 14:18 UTC 版)
「JT女性社員逆恨み殺人事件」の記事における「情状鑑定」の解説
公判中、藤田宗和と大越誠一が情状鑑定を実施したが、彼らはMが犯行当日、以下のように「Aの殺害を逡巡するような行動を見せていた」とした上で、それを根拠に「Mは前件で逮捕された際、Aに対し恨みとともに恋慕の情を抱き、それらの思いを錯綜させつつも増幅させていた。犯行時には『Aへの恨みを晴らす』という心理とともに、『もしかしたら受け入れてくれるのではないか』という幻想的な心理を持ったままAに再会したため、Aに包丁を取り上げられてパニック状態に陥り、殺害におよんだ」という内容の鑑定書を提出した。しかし、東京地裁 (1999) はMの「Aに会って謝りたい」という供述が、捜査段階や公判でのそれと矛盾することや、殺人に至るまでの一連の行動、そして以下の事情から、「鑑定人の面接時における被告人の供述には信用性のないものがあり、かつ、鑑定の前提となる事実の評価に誤りがある以上、その結論には疑問を抱かざるを得ない。そうすると、情状鑑定の結論は、被告人が当初から確定的な殺意を有していたことを覆すに足りるものではないというべきである。」という結論を出した。 情状鑑定が指摘した点左に対する東京地裁の判断犯行当日の朝、Aの殺害を実行することができたのに実行しなかったこと Mの捜査段階や公判での以下の発言から、殺害を逡巡したのではなく、目撃されることを恐れたために過ぎない。検察官の取り調べ - 「中央階段を人が下りてくる足音が聞こえたのです」「もし、彼女が騒げばすぐに駆けつけられると思ったのです」 公判段階 - 「第三者〔から〕目撃されたりしたらまずいと思い、それで、午前中は避けたのです」 犯行当夜、エレベーターの中で直ちに犯行におよばなかったこと エレベーター内でのMの言動は、殺害に対する逡巡ではなく、公判段階でM自身が「7年前の事件を思い出させてから殺そうと思った」と述べているように、当初から考えていた手順に過ぎない。 Aに包丁を簡単にもぎ取られたこと 現場におけるAの対応や、Mが捜査段階で「刃物を見せながら脅し文句を言い始めた時でしたので、十分に力を入れて柄を握っておらず、一瞬の隙に私の右手から抜き取られるようにして刃物を奪われたのです」と述べていることから、隙を突かれて包丁を奪われたに過ぎない。
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