怪盗もの、犯罪小説、倒叙など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 00:09 UTC 版)
「推理小説」の記事における「怪盗もの、犯罪小説、倒叙など」の解説
一方、フランスのモーリス・ルブランが1905年、短編「アルセーヌ・ルパンの逮捕」で探偵とは逆の立場に属する主人公である「怪盗もの」の執筆をはじめ、30年にわたって怪盗ルパンは長短編に登場することとなった。 そしてパトリシア・ハイスミスは、名探偵ではなく「犯人」をシリーズ・キャラクターに起用し、完全犯罪をたくらむ殺人犯リプリー青年が毎回主人公の「太陽がいっぱい」からはじまる長編5作を発表し、映画化もされている。 また、「キングコング」で知られるエドガー・ウォーレスは、「正義の四人」を筆頭に、探偵・刑事と殺人者・悪漢の両陣営で十指に余るシリーズ・キャラクターを創造した。 犯人の側から犯罪を描写する「倒叙」ものは、オースティン・フリーマンの短編集「歌う白骨」が有名だが、毎話ごとに当然ながら犯人が変わっており(探偵は毎回同じソーンダイク博士。また殺人犯が逃亡したり、未遂に終わる、被害者側が許すなど、犯人が罰せられない作品もあるのが本作品集の特徴)、フリーマン・ウィルス・クロフツの短編集『殺人者はへまをする』および『クロイドン発12時30分』やロイ・ヴィカーズの「迷宮課」シリーズを経て、現代のレビンソンとリンク共作の『刑事コロンボ』に至るミステリの定番ジャンルのひとつになっている。 「被害者」を主人公に起用したミステリとしては、グラント・アレンの「アフリカの百万長者」が挙げられる。 変り種では、いくつもの筆名でシリアスとコミカルの作風を使い分けるドナルド・E・ウェストレイクが「殺人はお好き?」で、「容疑者」を主人公に、事件担当の刑事が抱える別の難事件を次々に解決していく趣向の連作集を発表している。 「語り手(記述者)」が主人公になっている作品としては、ロード・ダンセイニ(ダンセイニ卿)の短編集「スミザーズの話」 が挙げられる。ウィルキー・コリンズの長編および中短編では、章や巻ごとに語り手が交代する作品が多い。 「読者」を主人公にする趣向は、フレドリック・ブラウンが連作短編集「真っ白な嘘」で試みている。 「作者」を文体などから読者に当てさせる趣旨のアンソロジーは、エラリー・クイーン編「読者への挑戦」やアイザック・アシモフ編「新・読者への挑戦」がある。
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