怪猫映画でのエピソード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 00:08 UTC 版)
「入江たか子」の記事における「怪猫映画でのエピソード」の解説
入江によると、戦後出演した時代劇と言えば「怪猫映画」で、五本しか撮っていないが、盆・正月の興行で大当たりしたせいもあり、大変イメージが強かったという。もともとは大映の永田雅一社長が「入江にやらせると面白い」と考えたものだというが、「いくら大当たりしても、そりゃあいやでした。みなさん三流映画というのですが、私は引き受けた以上、しっかりとやろう、手を抜いちゃいけない、とずいぶんと猫の研究をしました」といい、京都の有名な鮨屋に出かけ、猫の動作を覚えたり、「階段からポーンと飛び降りたとたんにもう歩いている」という動きをどう演技するか苦心したと語っている。 第一回目の『怪談佐賀屋敷』では、荒井良平監督から「そこで、すごみをだすのに、口の周りをペロッとなめるといい」と言われ、本番で紅ガラをなめたところ、含有成分の鉛、ヒ素の急性中毒を起こしてしまった。入江は喉の渇きを覚えて苦しみだし、注射をしながら最後の立ち回りをした後、とうとう倒れてしまった。医者から「もう一度なめていたら、つまり本番でNGをだしていると、あるいは死んでいたかもしれなかった」と言われ、「ゾッとしたものです」とこのときの様子を語っている。 またスゴミをだすため、夜中に池の鯉をつかまえ、パクッとかじるシーンがあった。「リアルさをだすためにホントにガブッとやった。とたんに鯉の内臓のニガリがプシューとでてきて何とも気持ちが悪くって、撮り終えると“早くバケツを頂戴”と叫んでしまったことも忘れられません」と述懐している。いろいろな因果話があったというが、「今となってはどれも懐かしい思い出です」と当時を振り返っている。 溝口の罵倒を受けたのちも、入江自身はこれらの映画をプロの仕事としてもいささかも卑下しておらず、最晩年に至って、大林宣彦監督が「サンセット大通り」を下敷きとして「化け猫女優」「伝説の大女優」の両方の側面にオマージュを捧げたテレビ映画「麗猫伝説」に娘・入江若葉との二人一役出演を快諾した。この映画では執事として大女優の隠棲に仕える往年の大監督を大泉滉が演じている。
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