性愛路線の終了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 08:12 UTC 版)
「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の記事における「性愛路線の終了」の解説
1969年暮れの時点では1970年8月に『地獄』 (1999年の『地獄』はこれの内容を大きく変えたもの)を公開して一連の“性愛路線”を終了させるという構想があった。“性愛路線”の提唱者である岡田茂は、『読売新聞』夕刊1970年3月7日付けの『現代の映画とセックス』という記事で、“性愛路線”が下火になったとするインタビューに答え、「続けてやっているとどうしてもグロになってしまうもんだから。でも映画にエロチシズムの要素は残しておく必要があると思う。お客の要求にこたえる意味でもね。石井輝男も当初ハダカはユーモアとして表現したんだが、連続して作っていると、ハダカの表現には制約があるから、サド、マゾ、ホモの異常性愛に傾き、グロテスクな方向に進まざるを得なかった。そんなときに『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』と『㊙劇画 浮世絵千一夜』に対して警視庁の取り締まり強化宣言と映倫への警告があった。われわれが自主規制の建て前として作った映倫を追い込んではいかん。それは意識します。だから今度作るとなると初心に帰って一から始めることが必要だ。ユーモアのある艶笑ものですな。ただこれは力のある監督でないと出来ないんだ」と“性愛路線”を終了させた理由を話した。 『㊙劇画 浮世絵千一夜』が公開後に警視庁から「刑法にふれる疑いがあり、カットしない場合は断固取り締まる」とキツい警告があり、東映はカットに応じたが。官憲の直接介入による作品のカットという悪い前例を残し、映画界にとって大きなマイナスとなった。『読売新聞』は「ビジネスとして作り始めた“性愛路線”がエスカレートして提唱者の手に負えなくなって来たらしい。お客の方が食傷気味で見せ物的なエロを見限ったという理由もあろうが、このへんに現代のセックス状況の奇怪さが現れているようである」と解説している。
※この「性愛路線の終了」の解説は、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の解説の一部です。
「性愛路線の終了」を含む「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の記事については、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の概要を参照ください。
- 性愛路線の終了のページへのリンク