性別判定への利用とその問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 08:59 UTC 版)
「SRY」の記事における「性別判定への利用とその問題点」の解説
ヒトの性決定について性染色体の関与の判明、さらに進んでSRYの同定がなされるとそれらを用いた性別判定が行われるようになった。1960年代では、女性に特異的なX染色体ヘテロクロマチン構造(バー小体=Xクロマチン)および男性特異的なY染色体ヘテロクロマチン構造(Yクロマチン)の観察によって性別判定が行われた。 SRYが同定された後の1992年および1996年の近代オリンピックでは、SRYの存在が性別判定に用いられた。しかしながら、アメリカ合衆国の各種医療団体・学術団体はこれらの判定方法に問題があることを指摘した。その結果、2000年のオリンピック以降、SRYによる性別判定は行われていない。 上記で問題とした性染色体の存在数あるいはSRY遺伝子の存在による性別判定の不確実性は前述の「機能」の副節で触れたSRY転座 X/Y染色体による性別の逆転(XX男性・XY女性)、突然変異(1塩基欠失・1塩基置換)によるTDF機能不全SRYでは表現型が女性となることなどからもたらされている。また性分化に関与するSRY以外の遺伝子群の一部の遺伝子に突然変異がある場合も、性分化異常症による性分化疾患をもたらすことも、上記判定法が不正確になる要因となっている。
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