心臓からの循環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 09:02 UTC 版)
血管系とは血液を循環させる器官群であり、その中心的役割を果たすのが心臓である。肺から戻ってきて酸素を豊富に含む血液は動脈血と呼ばれ、これは心臓が脈動することで左心室から大動脈へと押し出されて、全身に張り巡らされた血管へと送られる。大動脈は身体の上に向かう上行大動脈と下半身へ向かう腹大動脈に大きく分かれ、様々な動脈に枝分かれし、さらに細かい毛細血管へ血液を送り、体組織に酸素や栄養分などを行き渡らせる。 血中酸素は各組織で消費され、代わって血中には二酸化炭素が放たれる。二酸化炭素を多く含む静脈血は毛細血管から静脈に流れ、さらに上半身では上大静脈、下半身では下大静脈へと集められて心臓に送られる。この一連の循環は体循環(大循環)と言い、この部分における動脈は養分を供給する意味から栄養血管とも呼ばれる。 身体を巡り心臓の右心房に集められた血液は静脈血である。これから二酸化炭素を除去して酸素を吹き込む作用は肺で行われる。そのため心臓は、右心室から肺動脈を使って静脈血を押し出し、肺でガス交換を終えた動脈血を肺静脈を通して左心房へと集める。この部分の循環は肺循環(小循環)と呼ばれるもので、この部分の血管は養分供給ではなくガス交換を目的としたものであるため機能血管とも呼ばれる。 この2つの循環を行うため、心臓は心室と心房のペアを2つ持つ。体循環は左心房から左心室を経由して大動脈へ動脈血を送ることで行われ、肺循環は右心房から右心室を経て肺動脈へ送ることで行われる。 体循環(大循環)の血液の流れ左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→大動脈→動脈→毛細血管→静脈→上大静脈(上半身からの血流)・下大静脈(下半身からの血流)→右心房 肺循環(小循環)の血液の流れ右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈→肺毛細血管(酸素の取り込み)→肺静脈→左心房
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