後期古英語・中英語期 (紀元900–1400)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 17:41 UTC 版)
「英語の音韻史」の記事における「後期古英語・中英語期 (紀元900–1400)」の解説
/ld/, /mb/, /nd/, /rd/の前(おそらく/ng/, /rl/, /rn/も含む)の前の母音が長音化する。子音が三つ連続する場合は起きない。発生はおそらく紀元1000年ごろである。 後に多くの母音が短音化して戻る。ただしオームの書では長音が一般的である。 この影響は現代英語のchild (ただしchildrenは第三の子音が続くため異なる), field (yield, wield, shieldなど), climb, find (mind, kind, bind,など), fiend, found (hound, boundなど)などの発音に見られる。 上の長音化を除き、母音の後ろに二個以上の子音が来た場合には母音が短音化する。これには二段階あり、第一段階では三つ以上子音が来た場合に生じた。 古英語から引き継いだ狭母音の二重音は第二の成分が消失し、第一の成分が長音化することで単音化した。 /æː/と/ɑː/は/ɛː/と/ɔː/になった。 /æ/と/ɑ/は/a/に合流した。 /ʏ/と/yː/ は唇の丸みを失い/ɪ/と/iː/になった。 /ɣ/は母音に寄りかかって発音される場合に/w/か/j/に変わった。 上記によりこれにより新しく/w/と/j/を伴う二重母音が発生した。この二重母音の場合には長短の区別が消失した。 また/x/のに先行するときの渡り音/w/、/j/の挿入によっても二重母音が生じた。 多くの二重母音はその後すぐに合流した。 第三音節の短音化: アクセントのある音節の後に音節二つ続いた場合、アクセントのある母音が短音化する。このため現代英語のdivineとdivinity、southとsouthern (OE súðerne)のような差が生じた。 中英語の開音節の長音化:上記の短音化がおきる場合を除き、開音節の母音は長音化する (13世紀)。 アクセントのない母音は曖昧母音/ə/に合流する。 I語頭の/hɾ/, /hl/, /hn/の/h/が消失する。 有声摩擦音(古英語でf,þ,sの有声化したもの)は借用や音韻変化によって独立した音素になる。 後母音の前の/sw/は/s/になる。また/mb/は/m/になる。現代英語のsword, answer, lambに見られる。 ただしsworeの/w/はswearの類推による。
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