帯鋼組立台車・鍛造台車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/07 08:39 UTC 版)
「参宮急行電鉄2200系電車」の記事における「帯鋼組立台車・鍛造台車」の解説
ボールドウィンA・AA形台車の系統に属する帯鋼リベット組立台車枠の台車は、リベットを外しての台車枠全体の組み直しが効くうえ、基本的に鋼板を帯状に切断加工する技術さえあれば、後は特に大がかりな製造設備・技術を要さなかった。このためもともと廉価で国産化も容易であり、なおかつ鋳鋼台車よりも軽量で、ブレーキてこの取り回しも容易であった。デメリットとしては、組立構造のため長期の使用で弛緩が生じ、定期的にリベットを締め直さねばならない点があった。 ボールドウィン系の台車には、例えば南海鉄道天下茶屋工場製N-16形台車のように、鉄道会社が自社工場で既存品を採寸して設計図を起こし、この台車のコピー品を一からスクラッチした例も多々見られた。意匠権や知的所有権が特許権ほどに重視されなかった時代ならではのエピソードであるが、そのような例が多数見られたほどにボールドウィン系台車の製造は比較的容易であった。 もっとも、圧延鋼板は圧延方向に目が揃っていて破断のおそれがあったため、弓状のイコライザーだけは鍛造することが原則で、これを内製可能な工場は限られていたが、これを除けば鉄道会社の車両工場でもほとんどの交換用部材が製作できたのである。 また一体鍛造台車枠のブリル台車は、強固かつ高剛性という鋳造同様のメリットを備えるうえ、傷が付いても溶接等の補修が容易で、変形が生じても加熱して打ち直せば比較的簡単に修復できた。 しかし、鍛造のブリル台車は基本的に輸入品に限られたことから高価であった。仮にそのデッドコピーを企図しても、大型鍛造部品の製造には多大な設備投資を要した。またブリル台車は端梁の位置が低い構造で、高速電車に多用される両抱き式ブレーキ機構の実装には必ずしも適さない実情があった。
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