岩石海岸の特徴的な地形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/29 13:56 UTC 版)
海岸では海水の作用によって陸地が侵食されるが、そのことを海食という。また、常に海水でおおわれている部分よりも潮間帯の方が侵食の影響を受けやすく、その海食作用によって形成された侵食地形のことを海食地形と呼ぶ。さらに海食作用のなかで最も中心的な作用は波食であり、波食作用によって形成された地形を波食地形と呼ぶ。岩石海岸では険しい崖と、その前面にひろがる高潮面から低潮面のやや下までの範囲で緩やかに傾斜したプラットフォームという特徴がみられる。しかし、実際は海岸によって岩石の種類や大きさ、構造、波などによる侵食度合、海面変動の度合いが違うので、岩石海岸に見られる地形はそれぞれ異なってくる。 海食崖(sea cliff) 海に面した山地や大地で、おもに波による侵食を受けてできた崖のことであり、波食崖ともいう。山地が沈降し急斜面が沈水するとその斜面は波による侵食を受けるため、崖の下部に海食窪ができる。下部がくぼむとやがて上部は崩れ落ち、これが繰り返されることで崖は後退していく。崖の後退は波による打撃のほかに、岩盤の割れ目に入り込んだ水や空気にかかる圧力によっておこる。崖の下には岩石が削られたあと、ほぼ平坦な波食棚が形成され、さらに波食が進むと波食洞が生じることもある。海食崖の後退の速さは波の強さや打ち寄せる回数、岩石の固さなどに左右される。 波食棚(英語版)(wave-cut bench/shore platform) おもに潮間帯にある平坦な台地のことで、崖の基部である高潮面から低潮面以下にわずかに傾斜しながら広がっている。波食棚が形成されるためには、海食を受ける岩石の抵抗の強さと海食の強さの関係が重要であり、岩石の抵抗のほうが波に比べて強いと、その部分は離れ岩や礁となって波食棚の上に残る。一方岩石の抵抗力の方が弱いところは逆に溝となる。また波食棚の形成には、波による作用のほかに、海食崖の基部が浸食され上部が崩壊したことで生じた岩屑が底を削るという削磨作用も関係している。さらに海面付近での著しい風化営力も波食台の形成に影響を与えている。 海食台(英語版)(abrasion platform) 潮間帯に見られる波食棚と小崖(nip)を境にして一段下位にある、海面下に見られる侵食面のことで、沖に向かって緩やかに傾斜している。砂や礫などで薄く覆われている。波食棚を浸食することで、その縦断面は波食棚よりも平衡に近づくとされる。波による選択的な侵食を受け、海食溝が形成されることがあり、また海食台より沖側には堆積地形がみられることが多い。波のエネルギーは陸に近づくほど小さくなるため、そのことが原因でできたものといわれている。
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