居住適性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 13:29 UTC 版)
生理学的に見れば、火星の薄い大気は真空同然である。宇宙服などで保護されていない生身の人間であれば、火星の表面ではわずか20秒で失神状態に陥り、1分たりとも生存できないと考えられている。しかし火星の環境は、灼熱の水星や金星、極低温の木星、さらに遠い軌道を巡る外惑星、真空の月や小惑星と比べればはるかに住みやすい環境だとも言える。なお、火星よりも地球に近いのは金星の雲の上くらいであろうと言われている。また、地球上の人間が探検した範囲内にも、火星と類似した自然環境がある。有人気球が到達した最高高度は、1961年5月に記録された34,668m(113,740フィート)で、この高度での気圧は火星表面と同じぐらいである。南極の最低気温はマイナス90度ほどであり、火星の平均気温よりも少し低い。また、地球の砂漠も火星の地形と類似している。 2007年3月21日、NASAの副局長のシャナ・デールは「地球から4000万マイル離れた火星に人類の第2の故郷が見出されることを期待している」と語った。 将来的には、火星の環境を、人間を含めたさまざまな生物がそのまま居住可能なように改造することが出来るようになるのではないかと予測されている。とはいえ、火星環境の地球化、いわゆるテラフォーミングが本当に実現可能かどうかは現時点では何ともいえない。特に火星の脱出速度が小さいため、居住可能な大気を維持し続けるのは困難である。倫理上の問題も指摘されており、議論となっている。
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