小野武夫とは? わかりやすく解説

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小野武夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/20 01:36 UTC 版)

小野 武夫(おの たけお、1883年明治16年)8月3日 - 1949年昭和24年)6月5日)は、日本の農業経済学者法政大学教授。専門は農民経済史

人物・生涯

大分県で生まれる。1901年大分県立農学校を卒業して代用教員となり、数年後には日露戦争に従軍する。1906年に上京し、農商務省に勤務しながら、1912年7月に法政大学専門部政治学科を卒業する[1]

1913年帝国農会に入り、次いで1920年に農商務省に移って永小作慣行の本格的な調査を行なう。その調査結果は1924年に「永小作論」として刊行[2]され、その精緻な研究は当時の学界から高く評価された。1925年に「郷士制度史論」によって農学博士(東京帝国大学)[3][4]

1925年に東京商科大学の講師となり[5]1931年法政大学教授に就任。また、社会経済史学会創立の発起人の一人でもある。墓所は多磨霊園

業績

近世近代日本の農業史の基礎を築いた人物であり、農民経済史の広い分野を研究対象にし、歴史を民衆の側から見ることを始めた一人である。また、収集した膨大な史料を『近世地方経済史料』・『日本農民史料聚枠』・『徳川時代百姓一揆叢談』として刊行した業績は大きい。

なお、鹿児島大学附属図書館に、小野文庫として農業経済・農業史・地方史を中心とする図書コレクション4127冊が収められている。

著作物

著書

  • 『村の辻を往く』(民友社、1926)
  • 『旧佐賀藩の均田制度』(岡書院、1928)
  • 維新農民蜂起譚』(改造社、1930)
  • 『維新農村社会史論』(刀江書院、1932)
  • 『郷土経済史研究提要』(時潮社、1934)
  • 佐藤信淵』(三省堂、1935)
  • 『日本近世饑饉志』(学芸社、1935)
  • 『日本兵農史論』(有斐閣、1942)
  • 『日本村落史概説』(岩波書店、1942)
  • 『日本農業起源論』(日本評論社、1942)
  • 『農村社会史論講巌』(松堂書店、1942)
  • 『日本庄園制史論』有斐閣 (1943)
  • 『西洋農業経済史研究―小野武夫博士還暦記念論文集』(日本評論社、1948)
  • 『明治前期土地制度史論』(有斐閣、1948)
  • 地租改正史論』(大八洲出版、1948)
  • 『東洋農業経済史研究』(日本評論社、1948)
  • 『日本村落史考』(穂高書房、1948)
  • 『維新農民一揆の相貌』(学能協会、1949)
  • 『近代日本農村発達史論』(穂高書房、1950)
  • 『日本農民史語彙』(刀江書院、1970)
  • 『明治大正農政経済名著集 15 永小作論』(農山漁村文化協会、1977)

編集

  • 『徳川時代百姓一揆叢談(上・下)』(刀江書院、1927)
  • 『近世地方経済史料(第1-10巻)』(近世地方経済史料刊行会、1931)
  • 『日本農民史料聚粋第(1-11巻)』(巌松堂書店、1941)

監修

  • 『農村問題辞典』(非凡閣、1934)

脚注

  1. ^ 『法政大学校友名鑑』法政大学校友名鑑刊行会、1941年5月25日、108頁。NDLJP:1461443/180 
  2. ^ 小野武夫『永小作論』巌松堂書店、1924年5月20日。NDLJP:1716532 
  3. ^ 「大日本博士録」編輯部 編『学位大系博士録 昭和15・16年版』発展社出版部、1940年12月29日、6(農学博士)頁。NDLJP:1460729/280 
  4. ^ 書誌事項(CiNii Dissertations)”. 国立情報学研究所. 2017年10月29日閲覧。
  5. ^ 『東京商科大学一覧 自大正14年至大正15年』東京商科大学、1926年2月28日、345頁。NDLJP:941087/183 

参考文献

外部リンク




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