小説のモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 03:40 UTC 版)
小説「寄生木」の主人公 岩倉久米雄は砲兵将校であったが、士官学校や砲兵工科学校教官などを勤めたことがあった。数学を得意としたようである。砲兵大尉の明治29年10月から翌30年10月まで、台湾総督府軍務局陸軍部課員として、乃木希典が総督を務めていた台湾に赴任をした。 久米雄の弟岩倉正雄は当時陸軍幼年学校在学中であったが、後年私刊した「思い出の記」の中の「寄生木の主人公」の章に次のように記述している。 明治31年9月私達は3年生になった。幼年学校の最上級生だからにらまれることも圧迫を受けることも無いので実に威張ったものであった。私が3年生になったとき同中隊に新入してきた1年生に小笠原善平という生徒があった。此の生徒のことについて台湾総督府の砲兵部員になって台湾に行っていた長兄から書面が来て「今度幼年学校の新入生の中に小笠原善平という生徒がいる筈だから面倒を見てやってくれ。其の生徒は、乃木総督閣下の書生であって自分が閣下から頼まれて数学を教えてやった者だ」というのである。それで私は小笠原が幸い同中隊に入って来たので色々世話をし、面倒を見てやった。 この小笠原善平とは、明治14年生まれ、16歳で郷里岩手県を出奔し、乃木将軍の厚い庇護を受け、仙台・台湾・東京・北海道、日露戦役に出征するなど流転の末、明治41年28歳で死んだ。その自伝は、徳富蘆花により小説「寄生木」の主人公篠原良平として広く知られる。
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