寄付金の流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 16:00 UTC 版)
「帝京大学医学部裏口入学事件」の記事における「寄付金の流れ」の解説
「帝京大学に100億円単位の裏金がある。医学部に関連したものだ」という情報が国税当局に寄せられたのは2000年のことだった。だがそれ以前から帝京大医学部では合格発表前に資金集めが行われているという情報があり、また国税当局もある医学部系予備校への税務調査を行った際、帝京大への資金があることをつかんでいた。この予備校は帝京大などへの入学を希望する父母から資金を集めてプールしていたという。こうした情報から国税当局は、2001年末より帝京大学本体や関連財団への税務調査に一斉着手した。 帝京大学の税務調査が始まった当初、担当者は冲永家関係者が代表者などに名を連ねる財団に、入学希望者の親から集めた金が移されているのではないかと推測して銀行口座などを徹底的に調べた。その結果、不透明な金が流れる帝京大学関連の公益法人などは、数にして50にも上り、調査担当者は驚いたという。 親から集められた年間約20億円の金は、まず一旦愛媛県の帝京育英財団に入るのだが、それは「愛媛県」の財団が持つ東京三菱銀行「板橋支店」の口座に入った。財団の所在地は愛媛県なのだが、口座は東京ということになる。そして半年ほど運用される。この「運用」が中間の手続きとして行われるのである。 その後半分の10億円は帝京大学に入る。財団に入っている残り10億円はその後、上記の50の別法人の中を回されたが、最終的な金の行き先は税務調査でも解明できなかったという。法人間を回った金の行き先として、下記の13法人の243億円の内部留保は確認されているが、どこの金がどこの法人に入ったかまでは特定できなかったという。この、帝京育英財団に入った金を、他の公益法人などに振り分けていたのも同銀行板橋支店の幹部であり、その幹部が法人間の資金の移動などについて帝京大学側に知恵を与えていたという。 こうした故意に複雑化され、不透明化された金の流れの中で、帝京大学に入ったものは学校法人への寄付金ということで課税対象から外されたが、帝京育英財団に入った分については仮装、隠蔽を伴う悪質な所得隠しと国税当局側から判断された。実際、父母から見ても、帝京大学へ寄付したはずなのに、財団名義のものも加えられて数か月後に領収書が送られてきていたのである。
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