宮崎早野論文の社会的な影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:18 UTC 版)
「宮崎早野論文問題」の記事における「宮崎早野論文の社会的な影響」の解説
「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第四条に基づき原子力規制委員会内に設置されている放射線審議会で、2018年9月28日に実施された「第142回総会放射線審議会」において宮崎早野論文が取り上げられた。この審議会では、原発事故後に広範囲に放射線で汚染被害が拡大し通常の被ばく基準を上回った際、被害リスクや避難リスクとを踏まえたうえでの限度となる判断基準を検討しており、ICRP勧告上の用語である緊急時の「緊急時被ばく」や中長期にわたる際の「現存被ばく」においての「放射線障害にかかわる技術的基準の策定」の参照研究の一つとして宮崎早野論文が言及された。宮崎早野第一論文では「現在の空間線量から数十年間にわたる積算の実効線量」を求めており、空間線量と被ばく線量率の比例係数の平均値が0.15とされこれに基づき実効線量の換算が示唆されている。一方で、原子力規制委員会などが用いている「空間線量から実効線量」の換算方法では0.6(住居遮蔽係数が0.4、屋外滞在時間が8時間として1/3+0.4×2/3)を用いている。牧野淳一郎はこの点から、宮崎早野論文の結果を重視すれば現行の原子力規制委員会の空間線量から実効線量への換算係数が過大ではないかとの結論になりかねない点を指摘している。実際には、放射線審議会内のまとめでは、宮崎早野論文の結果は「取り上げない」としたが「学術的な意義について全否定されるものではない」とし、「空間線量率と実効線量が関係づけられてる基準は、結果としてさらに相当程度の裕度があった」としている。また牧野はこの放射線審議会で参照されている福島県飯舘村の調査を行った「内藤論文」にもこの調査論文の欠陥としてとして「空間線量率は航空機サーベイであり除染結果を反映できるだけの空間能がない」として、航空機サーベイでの空間線量値と実際の被ばく量との「関係を表せる」という点を指摘している。
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