実験課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/06 06:35 UTC 版)
前帯状皮質の活動の増加が観察される典型的な実験課題として、被験者がエラーを犯すような可能性を作る競合性を生じさせるものがある。そのような実験課題の例として、エリクセンのフランカー課題 (Eriksen flanker task)、と呼ばれるものがある。単純なものでは例えば、競合的 (>><>>) または非競合的 (<<<<<) なディストラクターに挟まれた中央の矢印の向きを答えさせる課題 (この場合競合的なディストラクターに挟まれたものの方が誤答率や反応時間が増加する) がある。 他の非常に有名な競合性を引き起こす課題として、ストループ課題がある(Pardo et al., 1990)。古典的なストループ課題は単語と色が一致 (赤色で書かれたあか) した場合や、不一致 (青色で書かれたあか) した場合において、その単語の色を答える課題である。この時ヒトの単語を読む能力が、単語の色を正しく答えようとする際に干渉を引き起こすため、競合が起きる。この課題の派生として、中立的な刺激 (4回呈示される"犬") や干渉を及ぼすような刺激 (4回呈示される"三") の呈示回数をボタン押しで答えるカウンティング・ストループ課題がある。 ストループ課題の別のバージョンとして、エモーショナル・カウンティング・ストループ課題がある。この課題は干渉を及ぼす刺激として"殺人"のような強い情動を引き起こすような刺激を用いること以外はカウンティング・ストループ課題と同じである。異なる種類の競合を引き起こすことにより、前帯状皮質の多くの機能を区別することが出来る。 しかし、このような課題で刺激の競合性を変化する際に、課題の難度もまた変化してしまうことには注意が必要である。つまり競合性の違いによる前帯状皮質の活動の変化は、認知的競合ではなく、このような難度の差によって説明出来てしまう恐れがある。もしそうであるならば、前帯状皮質は競合的な処理を行う脳領域ではなく、他の脳領域で行われる競合的な処理と相関した活動を示す領域ということになってしまう。
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