実現しなかった整備計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 17:53 UTC 版)
「東京都港湾局専用線」の記事における「実現しなかった整備計画」の解説
東京都や国鉄は、さらなる臨港線の整備を計画していた。 東京地区の鉄道貨物輸送では、特に越中島貨物駅や総武本線方面からの貨物が東海道本線方面との間で輸送される際に何度も折り返し運転が必要なこと、大きな迂回経路を走行すること、通勤電車と線路を共用していて線路容量が限界に達していること、都心部に貨物列車が走行することなどのいくつもの問題を抱えていた。そこでこうした問題を解決する方策として東京湾岸貨物線の計画が立てられた。1960年代の構想では東京湾岸鉄道は塩浜操車場(川崎貨物駅) - 大井(東京貨物ターミナル駅) - 芝浦 - 越中島 - 葛南操車場(武蔵野線と京葉線の合流点に想定されていた操車場で市川塩浜駅付近に計画していた) - 蘇我 - 姉ヶ崎 - 木更津を結ぶことになっており、後に一部計画が変更されながら推進されて、実際に完成したところ、旅客線に転用されたところ、着工されなかったところなどに分かれることになった。 東京港地区では、晴海線から分岐して月島を経由し、築地市場の脇から汐留駅へ抜ける月島線の計画があった。これは東海道本線と豊洲・晴海方面の連絡を図ると共に、京浜工業地帯と京葉工業地域を結ぶ物流の大動脈となることも意図していた。また1960年代の東京湾岸貨物線の計画では、晴海埠頭と芝浦埠頭を結ぶ構想もあり、最終的に海底トンネルまたは可動橋とするとしても、一時的には鉄道連絡船による車両航送を行うことも検討されていた。しかし実際に着手されることはなく、計画のみに終わっている。月島線がたとえ実際に完成していたとしても、その目的は通勤・通学輸送に変質していただろうとの推測もある。 また、都心部を貨物列車が通過しなくても済むようにする目的では、湾岸の貨物線を含む東京外環状線の建設計画が進められ、実際に武蔵野線や東京貨物ターミナル駅などが完成した。湾岸貨物線についても着工されたが、着手された計画では新木場駅から有明、お台場を通って海底トンネルで八潮の東京貨物ターミナル駅に抜ける路線を建設することになっており、有明では貨物駅と臨港線も計画されていた。また、12号地(辰巳)に船車連絡埠頭、13号地(青海)外貨ライナー埠頭への鉄道などの計画もあった。しかし、鉄道貨物輸送の衰退にともなってこの計画は旅客輸送を重視したものへと変わり、千葉方面から新木場までの路線は東京駅への乗り入れ線を建設して京葉線となり、また新木場からお台場までの路線は、東京貨物ターミナルへの路線から分岐して大井町駅・大崎駅への路線を建設して東京臨海高速鉄道りんかい線と変わった。
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