安倍家における『占事略决』の位置づけ
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「占事略决」の記事における「安倍家における『占事略决』の位置づけ」の解説
『占事略决』には、安倍家における家伝を背景に、目録的な意味合いで作成されたと考えられる記述が散見される。例えば「十二客法第廿」にある文章。 又有范蠡十三人法省不載。 (大意)また范蠡の十三人法があるが省いて載せなかった。 また、「三十六卦大例所主法第廿六」の末尾にある文章。 右三十六卦及九用次第、家々之説各不同。又有卅五卦、六十四卦法、或一卦之下管載数名、或一卦之内挙多説然、而事繁多煩省、而不載。具存本経、以智可覧之。 (大意)右の三十六卦および九つの三伝の出し方は、家ごとに異なっている。また三十五卦や六十四卦の場合もある。あるいは一つの卦にいくつかの卦をまとめてある場合や一つの卦に対して多数の説があげてある場合もあり、これら異説については煩雑なので記載を省略した。ここでは知っておくべき卦をあげている。 これらの文章にある「略决では記載を省いた」という一文は、安倍家内では省かれたその記載の内容について伝授が行われていた可能性をしめしている。『占事略决』を伝授されるということは、安倍家内での六壬の伝授の仕上げとしての目録の伝授であったのではないかと、松岡はその著作で指摘している。 一方で、中世陰陽道研究家の小坂眞二の研究によれば、平安時代に実際に使用されていた六壬神課と『占事略决』の六壬神課には齟齬があるとされる。また、京都大学図書館所蔵の写本には、付箋の形で本文とは異なる「天一治法」が記されている。これらのことから、占事略决が安倍家における六壬神課伝授の目録とは断定できないのも事実である。
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