子実体の発光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:25 UTC 版)
北アメリカ東部におけるワサビタケの発光性については複数の報告があるが、ロシア・日本・ニュージーランド産のワサビタケは発光せず、北アメリカ西部(太平洋岸)のものも光らない。また、ヨーロッパ産のワサビタケにも、発光性はない。 ワサビタケの発光性が報告されたのは、発光きのこ類の中でも比較的古い。1886年にはすでに、ひだは発光するが柄あるいは材の中の菌糸は光らない点・発光が、すべての子実体において観察されるとは限らない点・充分に湿った子実体や降雨の直前に採集した子実体で発光が認められる点などから、空気中の湿度その他の条件によって発光するか否かが左右される可能性があることなどが報告されていた。1915年には、成熟した子実体のひだには発光性が認められるのに対し、未熟な子実体は光らないことが観察されている。また、1924年には、北アメリカ産のワサビタケのひだの発光性が再び報告され、あわせて、その発光性は、胞子が成熟する時期においてもっとも顕著であるとされた。 子実体の発光性は、かさの裏に発達する子実層托(ひだ)と、ひだ同士の間を連結する網目状の連絡脈とに限られ、かさの表面や柄、あるいは腐朽材の内部に広がる菌糸は発光しない。ひだにおいても、縁シスチジアが存在するひだの縁における発光がもっとも強く、それ以外の部分(ひだの側面)から放出される光は、かさの裏全体からの総光量の10パーセント以下に過ぎないという。また、発光の強弱は、子実体の発生環境にも大きく左右される。なお、発光スペクトルの吸収の極大は525 nm にあるが、色素を多く含んだより濃色の子実体においては、528 nmないし 530 nmにずれるという。
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