婚姻の無効原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 17:20 UTC 版)
婚姻の当事者間に婚姻意思がないとき(民法742条1号)日本国憲法第24条第1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とし、婚姻は「両性の合意」を基礎とすることを明らかにしている。 通説・判例は民法742条1号の「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指す(実質的意思説)としており、単に婚姻の届出自体について当事者間に意思の合致があって一応、所論法律上の夫婦という身分関係を設定する意思があるのみでは婚姻は無効となる。例えば、非嫡出子と嫡出子に相続格差があった時代において便宜的に婚姻生活を継続するつもりは無いのに、男女間で生まれた非嫡出子を準正により嫡出子とする目的で婚姻することは無効とされており、これに反して婚姻届を提出した場合、後に他の相続人から相続関係をめぐり婚姻無効を理由とした訴訟を提起することも認められる。これに対し、日本の裁判所は比較的養子縁組については相続目的でも緩やかに認める傾向はある。 以上の民法上の規定から、どちらか一方に結婚する意思がない場合は無効であり、内縁の関係であっても、相手の同意なしに婚姻届を出したとしても無効とされる(ただし、後述の「無効な婚姻と追認」も参照のこと)。 婚姻届が受理された時点で当事者の一方が意識を失っていたとしても、婚姻届作成時に婚姻意思を有していたときは、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、婚姻は有効に成立するものとされる(最判昭和44年4月3日民集23巻4号709頁)。 婚姻の届出をしないとき(民法742条2号本文)婚姻しようとする者は、戸籍法等で定められる事項を婚姻届に記載して、その旨を届け出なければならない(戸籍法第74条)。ただし、婚姻の届出が739条2項に掲げる条件を欠くだけであるときは、婚姻はその効力を妨げられることはない(民法742条2号但書)。
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