妊娠中のビタミンA摂取について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:45 UTC 版)
「ビタミンA」の記事における「妊娠中のビタミンA摂取について」の解説
日本の厚生労働省では妊婦のビタミンA摂取量は、上限許容量が5000 IUとされている。ただし、ビタミンAが含まれている食品は意外と多く、総摂取量で見ると摂取過剰になると予想される。ビタミンAは1日10000 IU以上を連日摂取してしまうと奇形発生が増加すると考えられる報告がある。妊娠12週までにビタミンAを連日15000 IU以上摂取すると、水頭症や口蓋裂等、胎児奇形発生の危険度がビタミンA摂取量5000 IU未満の妊婦に比して、3.5倍高くなると報告されている。一方で欠乏した場合は未分化性の胎児奇形(単眼症など)のリスクが生じる。近代以前の日本では肉食文化が乏しくビタミンA欠乏が頻繁に見られる現象であったとも考えられており、ビタミンA過剰が過剰分化性の奇形(先述の口蓋裂等)を誘発することとは対照的な問題である。ただし、ビタミンAの過剰摂取による催奇形性の報告は、主にサプリメント由来のビタミンA(レチノイン酸)であり、動物性由来のビタミンA(レチノール)は20000 IU以上摂取しても問題がなかったと言う報告もある。 医薬品のビタミンAの場合、妊娠3か月以内、又は妊娠を希望する婦人へのビタミンA 5000 IU/日以上の投与は禁忌(処方してはいけない)とされている。 30歳から49歳の女性の1日のビタミンの目安摂取量。 ビタミンA 1800 IUもしくは540 µg(妊婦 2000 IUもしくは600 µg) 摂取上限 5000 IU(1500 µg、β-カロテンで摂取する場合、この数値は当てはまらない) β-カロテンは体内でビタミンAに変化する前駆体のプロビタミンAである。野菜にはβカロテンの形で含まれている。 ほうれん草(ゆで)100 g中2900 IU 春菊(ゆで)100 g中2600 IU コマツナ(ゆで)100 g中2800 IU わかめ(乾燥)100 g中4800 IU にんじん(水煮)100 g中4600 IU ビタミンA(レチノール)が動物性食品に多く含まれるのに対し、β-カロテンは緑黄色野菜や海草に多く含まれる色素の一種。体内に入ってビタミンAが十分ならAに変化しないため、過剰摂取の心配はない。
※この「妊娠中のビタミンA摂取について」の解説は、「ビタミンA」の解説の一部です。
「妊娠中のビタミンA摂取について」を含む「ビタミンA」の記事については、「ビタミンA」の概要を参照ください。
- 妊娠中のビタミンA摂取についてのページへのリンク