天津地下鉄1号線とは? わかりやすく解説

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天津地下鉄1号線

(天津地下鉄一号線 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/25 14:14 UTC 版)

天津地下鉄1号線
DKZ9型105編成
基本情報
通称
現況 営業中
中国
所在地 天津
種類 地下鉄
路線網 天津地下鉄
起点 東沽路駅
終点 劉園駅
駅数 23駅(廃駅除く)
路線番号 1
路線色 紅色
開業 1984年12月28日
運営者 天津地下鉄
路線諸元
路線距離 26.188 km
軌間 1,435 mm (標準軌)
線路数 複線
複線区間 全区間
電化区間 全区間
電化方式 直流750V 第三軌条方式
1号線路線図
テンプレートを表示
営業区間
双林車両基地
双林
財経大学
華山里
復興門
←CR陳塘荘支線連絡線→
陳塘荘
土城庫線
土城
南楼
←津河→
下瓦房
小白楼
新華路 2001年廃止)
営口道
3号線
鞍山道
海光寺
海光寺庫線
二緯路
西南角
2号線
西北角
←南運河→
西站
←子牙河→
洪湖里
勤倹道
勤倹道庫線
本渓路
佳園里
瑞景新苑
劉園
劉園停車場

天津地下鉄1号線(てんしんちかてつ1ごうせん、中文表記: 天津地铁1号线英文表記: Tianjin Metro Line 1)とは、中華人民共和国天津市津南区の東沽路駅から北辰区劉園駅までを走行する天津地下鉄地下鉄路線である。ラインカラー紅色。

路線データ

開業経緯・概要

北京地下鉄に続いて中国で2番目に開通した地下鉄路線。元々は1969年中ソ国境紛争後に有事の対策として天津市革命委員会中国語版市民を動員しての防空壕の建設を開始したことを由来とする。1970年4月7日に地下鉄路線として計画が変更され[1]:218、そのような経緯から当初は有事の際に人も通行できる設計とされた[2]。この計画は対外的には「7047工程」と呼称され、同年6月5日に1号線の工事が着工した[3]:466。 しかし当時の施工設備や技術条件は劣悪で全ての工程を手作業に頼り、また工期が短く任務が重かったため、7047指揮部が施工を組織し、専門チームを中核に義務労働大軍を主力とした全民会戦形式で進められ、毎日約5000人もの市民が参加した。このような体制は1973年3月に地下鉄の建設会社が設立されるまでの約3年間続き、以降は地下鉄建設会社の従業員により建設が進められた[2]。その後、以前の手作業による建設が終了したことによる労働力の不足から、地下鉄建設会社は施工の機械化を進めるため、一部の建設機械を自作または修復した。1974年にトンネル内の軌道及び路線の敷設が開始され、1975年には6.2kmの建設が完了し路線は初期区間における開通の条件を満たした。同年に北京地下鉄から4両のDK3型電車中国語版が譲渡され[4]11月16日に天津拖拉機廠に到着後、人力で海光寺車両基地へと運ばれた[2]1976年2月に新華路駅営口道駅、電報大楼駅(現在の鞍山道駅)、海光寺駅の3.6kmの区間が試運転を開始したものの、国の政策や唐山大地震による被災、資金難などの問題により工事が一時中断された[5]。1977年に地下鉄工事は再開され、1979年初頭に7047工程指揮部が解散し、地下鉄道筹建処が天津市地下鉄道管理処と改称され、施工や運営の業務を引き継いだ。1980年1月10日、新華路駅から西南角駅までの5.2kmの区間が一般公開され、単線での折り返し運転を開始した[3]:470。また、列車本数を増やすために地下鉄管理処は長春客車から6両のDK8型電車中国語版を追加購入し、1982年3月26日に天津へ到着した[6]。また湘潭電機廠と長沙鉱通廠の協力により、DK3型の電機技術を活用したZC/750-G型「芙蓉」車2両を試作し同年下半期に運行を開始した[7]:153。そして、1984年12月28日に運行区間が西站駅まで延長され、天津地下鉄1号線が正式開通した[2]

開通当初は6編成の電車が投入され各車両は2両編成で、運行速度は時速30~50kmであった。1986年9月、新たに4両のDK12型電車[8]も運行を開始し、翌年の輸送量は47.9%増加した[3]:473。この時点で路線には合わせて16両の電車が導入されていたが、車両の品質の悪さや故障の多発、検査の技術や手段が限られていたことから列車間隔が長く、定時性の確保を困難とした[9]。それらの対策として1986年11月8日に日本の東急車輛製造と、6両の地下鉄車両を購入する契約を締結した[10]。これは高品質な車両を少数でも導入することで限られた車両基地の条件下での安全かつ定時運行を推進しようとしたためである[9]。そして翌年の1987年に長春客車と東急車輛製造が共同で設計及び生産した6両の天津地下鉄TJ-1000型電車中国語版が同年12月に運行を開始し[11]:56、1988年にはラッシュ時に5編成、それ以外の時間帯には4編成を運行しうち2編成は3両編成で、運行間隔は9~12分に1本へと短縮された[3]:4741985年から1990年にかけ地下鉄管理処は西站駅の折り返し線を延伸し、17両の電車を大規模修繕して編成を拡大した[3]:474。また、1996年に北京地下鉄車両廠は地下鉄管理処の委託を受け、6両編成2組のBD4型電車を新規設計・製造した[12]。この車両ではステッピングモーター駆動マイコン制御の装置を採用し、主制御装置の故障を減少させた[13]1996年12月26日に天津で初めて公開され[14]、翌年3月に正式運行を開始し安定性と信頼性が確保された[13]。同年北京地下鉄と湘潭電機廠は北京地下鉄にて「電車GTOチョッパ調圧技術改造」計画を行い、チョッパ調圧車の生産技術を確立した[15]2000年4月18日に地下鉄管理処は北京地下鉄車両廠とチョッパ調圧車両3両の共同試作契約を締結し、翌年3月30日、BD8型電車の引き渡し式が天津で行われた[14]。7047計画により早期に開業した地下鉄区間は全長7.4kmと短かかったものの、長年の運行を通じて、天津においても地下鉄が地上交通の緩和に一定の役割を果たすことが証明された。また、天津市の重要な交通路線として、平均日輸送量は約1万人、過去最高は6.1万人を記録した。1988年の年間輸送量は最高で1154万人であった。

沿革

車両

現在使用されている車両
過去に使用されていた車両

駅一覧

  • 駅名欄の背景色がで、駅名が斜体字で表示されている駅は未開業、取り消し線の駅は廃止された駅であることを表す。
駅名 駅間
キロ

(km)
累計
キロ
(km)
接続路線・備考 所在地
日本語 簡体字中国語 英語
双橋河駅 双桥河站 Shuangqiaohe 天津市 津南区
鹹水沽北駅 咸水沽北站 Xianshuigubei
(North Xianshuigu)
   
東沽路駅 东沽路站 Donggulu
(Donggu Road)
   
国瑞路駅 国瑞路站 Guoruilu
(Guorui Road)
   
国家会展中心駅 国家会展中心站 Guojiahuizhanzhongxin
(National Exhibition and Convention Center)
   
上郭荘駅 上郭庄站 Shangguozhuang    
高荘子駅 高庄子站 Gaozhuangzi    
洪泥河東駅 洪泥河东站 Hongnihedong
(East Hongnihe)
梨双路北駅 梨双路北站 Lishuanglubei
(North Lishuan Road)
   
李楼駅 李楼站 Lilou    
双林駅 双林站 Shuanglin    
財経大学駅 财经大学站 Caijingdaxue
(Tianjin University of Finance & Economics)
    10号線 河西区
華山里駅 华山里站 Huashanli      
復興門駅 复兴门站 Fuxingmen      
陳塘荘駅 陈塘庄站 Chentangzhuang      
土城駅 土城站 Tucheng      
南楼駅 南楼站 Nanlou      
下瓦房駅 下瓦房站 Xiawafang     5号線
小白楼駅 小白楼站 Xiaobailou       和平区
新華路駅 新华路站 Xinhualu
(Xinhua Road)
    (2001年10月19日廃止)
営口道駅 营口道站 Yingkoudao
(Yingkou Avenue)
    3号線
鞍山道駅 鞍山道站 Anshandao
(Anshan Avenue)
     
海光寺駅 海光寺站 Haiguangsi
(Haiguang Temple)
      南開区
二緯路駅 二纬路站 Erweilu
(Erwei Road)
     
西南角駅 西南角站 Xinanjiao     2号線
西北角駅 西北角站 Xibeijiao       紅橋区
西站駅 西站 Xizhan
(Tianjin West Railway Station)
    CR京滬高速鉄道
CR津秦客運専線
CR京滬線
4号線
6号線
洪湖里駅 洪湖里站 Honghuli      
勤倹道駅 勤俭道站 Qinjiandao
(Qinjian Avenue)
     
本渓路駅 本溪路站 Benxilu
(Benxi Road)
     
佳園里駅 佳园里站 Jiayuanli       北辰区
瑞景新苑駅 瑞景新苑站 Ruijingxinyuan      
劉園駅 刘园站 Liuyuan   26.2  

関連項目

脚注

  1. ^ 天津市地方志编修委员会 (1994年10月). 天津通志·人民防空志 
  2. ^ a b c d e 中国第二条地铁是这样建成的”. 新华网 (2009年9月18日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 天津市地方志编修委员会 (1996年12月). 天津通志·城乡建设志 (第一版 ed.). 天津: 天津社会科学院出版社. ISBN 7805635862 
  4. ^ 北京市地方志编纂委员会. 北京志 55 市政卷 公共交通志. 北京出版社. p. 494 
  5. ^ 追忆“老地铁””. 北方网 (2005年1月12日). 2013年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月20日閲覧。
  6. ^ 历史上的今天——1970年4月7日,天津决定建设地铁_工程”. www.sohu.com. 2023年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月17日閲覧。
  7. ^ 湘潭电机厂志编纂办公室, ed (1992年8月). 湘潭电机厂志(1936-1989) 
  8. ^ 冯伯欣. “国产地铁车辆的发展及展望”. 铁道车辆 38 (1): 1-4. 
  9. ^ a b 刘玉玺; 张兆祺 (1991-12-31). “从天津地铁引进日本地铁电动客车的实践浅谈利用贷款引进设备与实现国产化的关系”. 地铁与轻轨. オリジナルの2018-10-31時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181031052337/https://www.ixueshu.com/document/3199305b4bab9a19318947a18e7f9386.html#pdfpreview 2018年10月30日閲覧。. 
  10. ^ 『美しい時代の創造 : 東急車輛50年史』. 東急車輛製造(株). (1999.05). p. 59. オリジナルの2015-03-30時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150330191130/http://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=6890 2018年11月3日閲覧。 
  11. ^ 长春客车厂厂史编审委员会 (1997). 长春客车厂志 1954-1990. 吉林人民出版社. ISBN 7-206-02756-3 
  12. ^ 张吉明 (1998). “从北京地铁车辆厂的发展谈国产化”. 城市轨道交通研究 (同济大学) (04): 44-47. ISSN 1007-869X. 
  13. ^ a b 王敏,梁建国,谭康柏,徐惠林 (2002). “一种新型地铁车辆凸轮驱动装置的研制”. 微机与应用 (6): 22-24. オリジナルの2023-03-15時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230315094046/https://www.doc88.com/p-954214922577.html 2023年3月15日閲覧。. 
  14. ^ a b 北京地铁车辆装备有限公司”. www.brsp.cn. 2023年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月15日閲覧。
  15. ^ 马沂文 (2001年8月). “北京地铁“环线”电动车辆的技术改造”. 铁道车辆 39 (8): 18-21. オリジナルの2023-03-17時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230317172613/https://www.doc88.com/p-4317663410510.html 2023年3月17日閲覧。. 
  16. ^ 地铁1号线果酒厂、西横堤站更名-新华网”. www.tj.xinhuanet.com. 2018年9月14日閲覧。
  17. ^ 天津政务网--地铁1号线东延线双林站李楼站今试运营”. www.tj.gov.cn (2018年12月3日). 2018年12月3日閲覧。

外部リンク




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