天城一の「密室作法」
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天城一が雑誌『宝石』(1961)の密室特集号に「密室作法」を書いた。カー、乱歩など過去の分類を挙げた後に、乱歩の分類の欠点として密室の作り方に触れていないことを指摘し、密室の定義と分類を行った。 天城は、時間Tについて、殺人が犯された時刻R、推定犯行時刻S、被害者絶命時刻Qとしたときに、QとSがRと一致しないことが「手品の種になる」として、密室殺人の定義をT=S において、監視、隔絶その他有効と「みなされる」手段によって、原点O(密室)に、犯人の威力が及び得ないと「みなされる」状況にありながら、なお被害者が死に至る状況をいうとしたうえで、二つの「みなす」に着眼して密室の殺人を以下の通りに分類する。 不完全密室A1:「抜け穴」が存在する場合 A2:「機械密室」 完全密室B3事故または自殺 B4「内出血犯罪」 純密室C5時間差密室(+)推定犯行時刻よりも後に殺人が犯された場合 C6時間差密室(-)殺人が犯された時刻よりも後に犯行時刻が推定されていた場合 C7逆密室(+)被害者を運び込む C8逆密室(-)被害者を運び出す C9超純密室 この記事が雑誌掲載以後単行本などとして刊行され、入手が容易となるのは、推理小説論のアンソロジー『教養としての殺人』に収録される1980年を待たねばならなかったが、多くの密室アンソロジーの解説などによってその存在と概要は広く知られていた。 小森健太朗の『ローウェル城の密室』の登場人物、星の君による密室講義の分類は、大きく「完全な密室」「不完全な密室」「錯覚によって密室が構成される」の3分類で、天城のものに近い(小森は執筆当時には天城の記事を見ていない)。
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