大鍵と小鍵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/30 18:36 UTC 版)
19世紀末から20世紀初頭にかけて、マグレガー・マサースが関与した異なるふたつのソロモン系魔術書が英語圏で出版された。『ソロモンの大いなる鍵』と『ソロモンの小さき鍵』という二冊の魔術書である。 このうち、『ソロモンの大きな鍵』の特徴は書の内容よりも付録的な記載の豊富な護符などの図版である。『ソロモンの小さな鍵』については、こちらのほうが有名である。『ゲーティア』もしくは『レメゲトン』とも呼ばれる。その内容は72の悪魔の解説と使役の仕方が記されている。知名度から『ソロモンの小さな鍵』の方がソロモンの鍵だと認識されることも多いが本来は『ソロモンの大きな鍵』の方を指す。 前者は1889年にマサースによって出版された『ソロモン王の鍵』(The Key of Solomon the King)である。これはマサースが大英博物館(現・大英図書館)所蔵の複数の手稿本を基に再編した英訳版の「ソロモンの鍵」である。初版はほとんど注目されなかったが、その後、マサース対クロウリーの法廷闘争が世間の耳目を騒がせたことも相まって、1909年の新版は多少注目を集めた。その後、シカゴでオカルト本の出版やオカルト用品の通信販売を手がけるL・W・デ・ローレンスによって『ソロモンの大きな鍵』(The Greater Key of Solomon)という題で海賊版が出版された。 後者は1904年にアレイスター・クロウリーによって出版された『ソロモン王のゴエティアの書』(The Book of Goetia of Solomon the King)である。これは「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に、魔術に関する序説、召喚文のエノク語バージョン、アウゴエイデス勧請などを加えたものである。収録された「ゴエティア」はマサースが大英博物館所蔵の「レメゲトン」の英語写本から写したもので、黄金の夜明け団内で貸与されていた。クロウリーはヘブライ語、ラテン語、フランス語、英語の写本を比較対照して構成された英訳としているが、誤りである。これも後にL・W・デ・ローレンスにより『ソロモンの小さな鍵』(The Lesser Key of Solomon)として海賊版が出版された。 以上2点の魔術書、およびその原典である「ソロモンの鍵」と「レメゲトン」(もしくは第一部の「ゴエティア」)は、今日それぞれ『ソロモンの大きな鍵』『ソロモンの小さな鍵』という通称でも呼ばれている。
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