大蛇丸誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 21:12 UTC 版)
3年が過ぎても女性には出産の気配がなく、不審に思い尋ねると、女性は梵天水上国の生まれで臨月には3年3月かかると答え、湖水の上に産屋を建ててほしいと願う。利春は繁井が池に産屋を造らせると、女性は礼を告げて100日100夜の暇を乞い、その間は産屋を覗いてはいけないと言い残して中に籠る。99夜になった日、利春は待ちきれずに産屋へ近づくが天が黒雲に覆われ、雷鳴が轟き稲妻が光り、大風が吹き立て、大木古木が折れ、池の水が激しく逆巻き、大地も振動し、鬼火が飛び交った。しかし利春は立ち忍んで産屋を覗いてしまう。中には20尋あまりの大蛇が紅の舌を巻出して立派な若君を愛でていた。利春は身を震わせて配所の庵で眠れぬ夜を過ごした。 翌朝、女性は艶やかな姿で赤子を抱き利春のもとへと訪れる。利春の膝に赤子を置いた女性は涙を流し、約束したのに正体を見られて恥ずかしいと言う。続けて自分は繁井が池の龍佐王で、利春の横笛に心を寄せ、女性に変化して仮の契りを交わすと若君を宿した、せめて2歳になるまで育てて利春にお仕えしたかったと答え、若君に2本の鏑矢を与えると利春に若君が10歳のときに赦免の使いがくる、私は田村家が三代続くよう進言すると言い残し、大蛇に変化して炎を吹きだしながら繁井が池へと飛んでいった。龍佐王は三つ羽の征矢を乳房とせよ置き文を残していたので、若君に鏑矢を含ませたところ笑顔を浮かべた。若君は大蛇丸(後の田村利光)と名づけられた。大蛇丸が10歳になった頃、利春は赦されて都へと戻ると、大蛇丸とともに参内して中納言に任命され冠と装束を下賜された。
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