大洋底でのP-T境界の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 05:32 UTC 版)
「付加体」の記事における「大洋底でのP-T境界の状況」の解説
P-T境界は古生代のペルム紀と中生代の三畳紀の境界で、地球史上最大級の大量絶滅と呼ばれている事件。今まで見つかっている化石の記録から海生無脊椎動物の90%以上が絶滅したと推定されている。化石生物の記録は陸地周辺の浅海のデータであるが、陸から遠く離れた大洋におけるP-T境界の証拠が岐阜県鵜沼に露出している付加体のチャート層(放散虫のケイ質殻を大量に含んでいる)で発見された。このチャート層の分析の結果から、P-T境界を挟む約2000万年という長い期間 大洋中の酸素が欠乏していたことが判明したため、「超酸素欠乏事件、スーパーアノキシア(Superanoxia)」と名づけられた。鵜沼では スーパーアノキシア前後に堆積したチャートは、海中に酸素が十分あり放散虫が繁殖していたことを示す「赤色チャート」(赤色の由来は酸化鉄)であるが、スーパーアノキシア期間は酸素の欠乏を示す「灰色チャート」(海水中の鉄分が酸化されない状況)、その中心時期であるP-T境界直後には放散虫の繁殖が認められず有機物も酸化分解されないまま海底に沈殿した「黒色炭質粘土岩」が存在する。即ち大量絶滅事件であるP-T境界において、付加体の分析から 全地球規模で長期間に渡って大幅な酸素の欠乏という非常にカタストロフィックな変化が起こっていたことが判明した。
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