大根島の火山活動の概略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 09:56 UTC 版)
「大根島の熔岩隧道」の記事における「大根島の火山活動の概略」の解説
大根島の熔岩隧道は島根県と鳥取県に跨る潟湖である中海に浮かぶ大根島の遅江(おそえ)地区に所在する。 遅江地区は大根島の南東に位置しており、国の特別天然記念物に指定された大根島の熔岩隧道は遅江地区の海岸(湖岸)に近い、民家が密集する住宅街の中に洞口を開けている。この洞口は洞内の天井の一部が陥没して出来たもので、地元では幽鬼洞(ゆうきどう)、または大根島第二熔岩隧道と区別するため(大根島)第一熔岩隧道とも呼ばれている。 中海に浮かぶ大根島と江島の2島は、約22万年前から19万年前の3万年間にわたって噴火を続け形成された元々は同一の火山島で、粘性が非常に低い玄武岩からできている。大根島を覆う溶岩層の厚さは約80メートほどもあるが、大きな火口などから噴出したのではなく、多数ある小規模な溶岩噴出口(Lava Pond)から薄い溶岩流が流れ出し、徐々に重なって出来たもので、この第一熔岩隧道洞口付近の天井に見られる2層のクラスト(外殻)は薄く、柱状節理の形成も貧弱であり、これらのことは大量の溶岩を噴出するような活発で大規模な火山活動ではなく、溶岩が湧水のように湧き出す穏やかな火山活動であったと考えられる。 大根島のマグマは深いところから噴出したと考えられていて、溶岩の中には多数の気泡が含まれている。溶岩は地中深くから噴出する際、周囲の水分を捉えながら地表に向けて上昇してくるが、その水分が374℃ 、220気圧以上になると水蒸気から気化する。その際、気化した気体(火山ガス)が溶岩中に入り込むので、地上に噴出したときには、ちょうど炭酸飲料を開けた時に発生するような気泡(減圧による発泡)が溶岩中に多数生じる。そのため大根島の溶岩はすべて、非常に多くの細孔が空いた多孔質の玄武岩の溶岩である。 この発泡したガスが寄り集まって空洞をつくり、これらガスの充満した空洞同士がガスの移動によって連結し洞窟状の形状になった。本熔岩隧道の陥没したように見える洞口部(入口)は、ガス溜まりの広い空洞部が、ガスの圧力によって天井部の薄いクラスト(表層溶岩層)を突き破って噴き上げた時に崩壊したものと考えられる。その際に、わずかに流入した軟らかい溶岩流の痕跡が残っている。
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