大局的気象の観点から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 09:34 UTC 版)
大気中において、上昇流により断熱冷却を引き起こすメカニズムはいくつかあるが、主なものを挙げる。 対流性 : 日差し(太陽放射)による加熱は、地形の起伏や雲による遮蔽の有無などによりムラがあり、周囲よりも暖かい地表に接する空気は浮力を得て、上昇する。特に、加熱に起因し山岳の尾根から湧き上がるような上昇流を熱上昇気流(サーマル)と呼ぶ。 収束性 : 低気圧の中心や収束線(シアーライン)でみられる。地表に接する大気の下層では、集まった大気がぶつかり、行き場を失って上空へ向かう。 地形性滑昇風 : 風の穏やかな朝、谷間に安定成層が発達しているとき、斜面に接する大気は朝日に温められるが鉛直には上昇できず、尾根に向かって斜面に沿いゆるやかに上昇する。 山岳波 : 山などの起伏のある地形に沿って強い水平風(山越え気流)が吹くと、強制的に大気が持ち上げられる。尾根を越えると冷やされているため下降するが、再び温められ上昇、その後も上下に振動を繰り返すことでパターンが風下の上空、山から離れたところに伝播する。山に掛かるレンズ雲、笠雲、吊るし雲や、上空に見える波状雲、放射状雲をつくる。 前線性 : 暖気と寒気がぶつかる前線では、暖気が寒気の上に乗り上げ、前線面に沿って上昇する。温暖前線の上昇流は比較的弱い。典型的には前線面に沿い、地上の前線に近い順に層雲、乱層雲、高層雲、高積雲、巻層雲、巻積雲、巻雲がみられる。 寒冷前線の上昇流は比較的強い。典型的には地上の前線の真上に積乱雲、その後面に層積雲や積雲、前面に積雲や層積雲、高積雲がみられる。 発達した積乱雲のそばでは、下降流が地表にぶつかって水平に流れ局地前線(ガストフロント)が形成され、これに沿ってアーチ雲がみられることがある。
※この「大局的気象の観点から」の解説は、「雲」の解説の一部です。
「大局的気象の観点から」を含む「雲」の記事については、「雲」の概要を参照ください。
- 大局的気象の観点からのページへのリンク