多面体ウィア=フェラン構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 10:06 UTC 版)
「ウィア=フェラン構造」の記事における「多面体ウィア=フェラン構造」の解説
ウィア=フェラン構造の面と辺から曲率を取り去ると多面体による充填が得られるが、これも広い意味でウィア=フェラン構造と呼ばれる。このような空間充填が存在することはウィアとフェラン以前から知られていた が、ケルヴィン問題への応用は手つかずだった。 化学の分野で多面体ウィア=フェラン構造と等しい結晶構造が発見されている。通常「I型クラスレート構造」と呼ばれるもので、メタンやプロパン、二酸化炭素によるガスハイドレートは低温でこの構造を取る。ウィア=フェラン構造における辺のノードに水分子が位置して互いに水素結合を作り、サイズの大きいメタンなどの分子が多面体ケージ内に包接されたものである。 アルカリ金属のケイ化物ならびにゲルマニウム化物の中にもこの構造を取るものがある(SiまたはGeがノード、アルカリ金属がケージ内)。シリカ鉱物の一種、メラノフロジャイト(英語版)も同様である(Siがノードに位置し、Oが辺に沿って結合を作る)。メラノフロジャイトは SiO2 の準安定形で、気体分子がケージ内にトラップされることによって安定化する。国際ゼオライト学会はメラノフロジャイトと同型の骨格構造にMEP(MElanoPhlogite)のシンボルを割り当てている。 フランク=カスパー相(英語版)として知られる一群の構造にも多面体ウィア=フェラン構造が含まれる。 近年、ウィア=フェラン構造とそっくりなナノ物質がパラジウム基板において鉛パラジウム合金薄膜で発見されている。北京オリンピックの北京国家水泳センター(通称ウォーターキューブ)にちなんで、「ナノウォーターキューブ(Nano WaterCube)」と命名された。
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