多難な撮影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 00:47 UTC 版)
「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」の記事における「多難な撮影」の解説
監督はパイソンズの中で最も演出、編集に興味を持っていたテリー・ジョーンズとテリー・ギリアムの2人の共同監督に決定した。しかし、コメディーとしての役者の演技に重点をおくジョーンズと、画面のビジュアル的要素に重点をおくギリアムとでは、意見がぶつかり合うこともしばしばであった。演出は2人の交代制であったが、お互いのカメラ位置をいちいち直しあったりするため、現場では口論が絶えなかったという。また、他の役者たちと監督の間の空気も険悪なものであった。 『ホーリー・グレイル』は、5週間という短期間で撮らなければならなかった。2人の監督とプロデューサー陣は、撮影に使う城を吟味するためスコットランドでロケハンをした。その後、スターリングにあるドゥーン城を保有するマリー伯爵(英語版)から撮影許可を取ったほか、ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド(英語版)から、映画をスコットランドの複数の城で撮影する許可を得る。ところが撮影の直前になって、ナショナル・トラストからの撮影許可が取り消されてしまう。プロデューサーたちには新しいロケ地を探す時間が無かったため、代わりに狭いアングルでドゥーン城のさまざまな箇所を撮影し、作品に登場する複数の架空の城の部分として見せることを考えた。このため多数のシーンがドゥーン城で撮影されている。映画終わりに登場する「アアアアの城」(英: "Castle Aaaaarrrrrrggghhh")のシーンはアーガイル(英語版)にある個人所有の城・ストーカー城で行われた。また、ウェールズにあるキドウェリー城(英語版)も一瞬登場している。 撮影初日の峡谷を歩くシーンでは、登山家のはずのグレアム・チャップマンが震えて歩けなくなるという事態が起こった。原因は当時彼が患っていたアルコール依存症にあり、その影響でセリフを忘れることも多かった。また、撮影初日にはカメラも故障、映像と音声が合わないインサート・カット専用のカメラで撮影された。予算が少ないため、照明の量が十分ではなく、一部のシーンではたいまつを照明代わりにして撮影している。 パイソンズは何度も試写会をし、その都度修正を入れて観客の手ごたえを見た。パイソンズはプリントをアメリカに持ち込み、映画会社と契約、ニューヨークを中心に大ヒットをとばした。その後イギリス、その他各国でも上映され、大きな収益を出した。
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