墓と神殿の落書き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:54 UTC 版)
「古代エジプト文学」の記事における「墓と神殿の落書き」の解説
フィッシャー=エルフェルト(ドイツ語版)は古代エジプトの落書きを1つの文学的ジャンルであるとしている。新王国時代に古い遺跡へと旅した書記官たちは、神聖な葬祭殿(英語版)やピラミッドの壁に、記念として落書きのメッセージを残すことがしばしばあった。現代の学者たちはこうした書記官たちは単なる観光客ではなく、神聖な遺跡を訪れる巡礼であり、そこでは廃れた崇拝施設が神々との交信に用いられ得たのだと考えている。センエンムウト(英語版)の墓(TT71(英語版))で発見された教育的なオストラコンから、定式的な落書きが書記官の学校で練習されていた証拠が発見されている。ハトシェプスト女王葬祭殿にあるトトメス3世の葬祭殿に残された落書きのメッセージでは、『宰相プタハヘテプの教訓(英語版)』の格言を改変したものが、神殿の壁に書かれていた祈りに組み込まれている。書記官たちは他人の落書きと自分のものとが区別できるよう、離して描くのが普通であった。これは書記官同士の競争へと至り、時には職業上の先輩も含む他の書記官によって彫られた落書きの質を貶めることもあった。
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