場合 1: q が 1 の冪根でないとき
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 23:15 UTC 版)
「量子群」の記事における「場合 1: q が 1 の冪根でないとき」の解説
表現の1つの重要なタイプはウェイト表現であり、対応する加群はウェイト加群と呼ばれる。ウェイト加群はウェイトベクトルを基底に持つ加群である。ウェイトベクトルは 0 でないベクトル v であって、すべての λ に対して kλ ⋅ v = dλv となるものである。ここで dλ は各ウェイト λ に対する複素数であって、以下を満たす。 d0 = 1, すべてのウェイト λ, μ に対して、dλ dμ = dλ + μ. ウェイト加群はすべての ei と fi の作用が局所冪零である(すなわち加群の任意のベクトル v に対して、ある正の整数 k(v に依存してよい)が存在して、すべての i に対して e i k . v = f i k . v = 0 {\displaystyle e_{i}^{k}.v=f_{i}^{k}.v=0} となる)とき、可積分であると呼ばれる。可積分な加群の場合には、ウェイトベクトルに付随する複素数 dλ は d λ = c λ q ( λ , ν ) {\displaystyle d_{\lambda }=c_{\lambda }q^{(\lambda ,\nu )}} を満たす。ただし ν はウェイト格子の元で、cλ は次のような複素数である。 c 0 = 1 , {\displaystyle c_{0}=1,\,} すべてのウェイト λ, μ に対して、 c λ c μ = c λ + μ , {\displaystyle c_{\lambda }c_{\mu }=c_{\lambda +\mu },} すべての i に対して、 c 2 α i = 1. {\displaystyle c_{2\alpha _{i}}=1.} 特に興味があるのは最高ウェイト表現と対応する最高ウェイト加群である。最高ウェイト加群は以下を満たすウェイトベクトル v によって生成される加群である:すべてのウェイト μ に対して kλ ・ v = dλv, すべての i に対して ei ・ v = 0. 同様に、量子群は最低ウェイト表現と最低ウェイト加群をもつことができる。最低ウェイト加群とは以下を満たすウェイトベクトル v によって生成される加群である:すべてのウェイト λ に対して kλ ・ v = dλv, すべての i に対して fi ・ v = 0. ベクトル v がウェイト ν を持つことを、ウェイト格子のすべての λ に対して k λ . v = q ( λ , ν ) v {\displaystyle k_{\lambda }.v=q^{(\lambda ,\nu )}v} が成り立つことと定義する。 G がカッツ・ムーディ代数であれば、Uq(G) の最高ウェイト ν の任意の既約最高ウェイト表現において、ウェイトの重複度は同じ最高ウェイトを持つ U(G) の既約表現におけるそれらの重複度に等しい。最高ウェイトが優整であれば、既約表現の weight spectrum は G のワイル群の下で不変であり、表現は可積分である。(ウェイト μ が優整とは、μ が次の条件を満たすことをいう: 2 ( μ , α i ) / ( α i , α i ) {\displaystyle 2(\mu ,\alpha _{i})/(\alpha _{i},\alpha _{i})} はすべての i に対して非負の整数である。) 逆に、最高ウェイト加群が可積分であれば、その最高ウェイトベクトル v は k λ . v = c λ q ( λ , ν ) v {\displaystyle k_{\lambda }.v=c_{\lambda }q^{(\lambda ,\nu )}v} を満たす。ただし cλ ・ v = dλv は以下を満たす複素数である: c 0 = 1 , {\displaystyle c_{0}=1,} すべてのウェイト λ, μ に対して、 c λ c μ = c λ + μ , {\displaystyle c_{\lambda }c_{\mu }=c_{\lambda +\mu },} すべての i に対して、 c 2 α i = 1 , {\displaystyle c_{2\alpha _{i}}=1,} そして、ν は優整である。 すべてのホップ代数の場合がそうであるように、2つの加群のテンソル積はまた加群である。Uq(G) の元 x とそれぞれの加群のベクトル v, w に対して、 x ⋅ ( v ⊗ w ) = Δ ( x ) ⋅ ( v ⊗ w ) , {\displaystyle x\cdot (v\otimes w)=\Delta (x)\cdot (v\otimes w),} よって k λ . ( v ⊗ w ) = k λ . v ⊗ k λ . w {\displaystyle k_{\lambda }.(v\otimes w)=k_{\lambda }.v\otimes k_{\lambda }.w} であり、余積が Δ1 の場合には、 e i . ( v ⊗ w ) = k i . v ⊗ e i . w + e i . v ⊗ w {\displaystyle e_{i}.(v\otimes w)=k_{i}.v\otimes e_{i}.w+e_{i}.v\otimes w} および f i . ( v ⊗ w ) = v ⊗ f i . w + f i . v ⊗ k i − 1 . w {\displaystyle f_{i}.(v\otimes w)=v\otimes f_{i}.w+f_{i}.v\otimes k_{i}^{-1}.w} である。 上で記述された可積分最高ウェイト加群は、1次元加群(すべての λ に対して kλ = cλ で、すべての i に対して ei = fi = 0)と、0 でないベクトル v0 であってすべてのウェイト λ に対して k λ . v 0 = q ( λ , ν ) v 0 {\displaystyle k_{\lambda }.v_{0}=q^{(\lambda ,\nu )}v_{0}} とすべての i に対して e i . v 0 = 0 {\displaystyle e_{i}.v_{0}=0} を満たすものによって生成された最高ウェイト加群の、テンソル積である。 G が(カッツ・ムーディ代数の特別な場合としての)有限次元リー環である場合には、優整最高ウェイトを持つ既約表現も有限次元である。 最高ウェイト加群のテンソル積の場合には、その部分加群への分解はカッツ・ムーディ代数の対応する加群のテンソル積と同じである(その最高ウェイトやその重複度は同じである)。
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Strictly, 量子群 Uq(G) は準三角ではないが、R 行列の役割を果たす形式無限和が存在するという意味で「ほぼ準三角」と考えることができる。この形式無限和は生成元 ei, fi とカルタン生成元 tλ の項で表現できる。ここで kλ は形式的に qtλ と同一視される。形式無限和は2つの因子 q η ∑ j t λ j ⊗ t μ j {\displaystyle q^{\eta \sum _{j}t_{\lambda _{j}}\otimes t_{\mu _{j}}}} とある形式無限和の積である。ただし λj はカルタン部分環の双対空間のある基底で、μj は双対基底で、η = ±1 である。 R 行列の役割を果たす形式無限和は2つの既約最高ウェイト加群のテンソル積に well-defined な作用を持ち、また2つの最低ウェイト加群のテンソル積にも well-defined な作用を持つ。具体的には、v がウェイト α を持ち w がウェイト β を持つならば、 q η ∑ j t λ j ⊗ t μ j . ( v ⊗ w ) = q η ( α , β ) v ⊗ w {\displaystyle q^{\eta \sum _{j}t_{\lambda _{j}}\otimes t_{\mu _{j}}}.(v\otimes w)=q^{\eta (\alpha ,\beta )}v\otimes w} であり、加群がともに最高ウェイト加群あるいはともに最低ウェイト加群であるという事実は v ⊗ w {\displaystyle v\otimes w} 上の他の因子の作用を有限和にreduceする。 具体的には、V が最高ウェイト加群であれば、形式無限和 R は V ⊗ V 上の well-defined で可逆な作用を持ち、(End(V ⊗ V) の元としての)R のこの値はヤン・バクスター方程式(英語版)を満たし、したがって組み紐群の表現を決定でき、結び目、絡み目、組み紐の quasi-invariants を定義することができる。
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