執事という語について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 01:26 UTC 版)
一般に、バトラーの訳語として「執事」が充てられることが多い。 しかし、近代までの日本語において「執事」に上級使用人という語義はなく、多くの場合は執行官や執政官、家令の長官(家宰)を意味した。その意味では、どちらかといえばスチュワードに近い。平安時代の執事は政務・事務を執行する下級官職だったが(『侍中群要』(1071年?))、やがて摂関家の家司(家令)の長官や院庁の長官を指すようになって高貴な語感が伴い始め、特に院庁長官である院執事は南北朝時代以降は大臣級が占める高級官職だった。武家でも、鎌倉幕府の執権の異称や室町幕府の管領の前身として、執政の最高職を指した。明治時代に院政が廃止された後も、「執事」という語は1940年代までは手紙で貴人や目上の者に対する脇付として使用された。 日本最大の国語辞典である『日本国語大辞典』第二版(2000–2002年)は、日本語の「執事」に上級使用人としての語義を掲載せず、『大辞林』第三版(2006年)も同様である。一方、『デジタル大辞泉』(2019年8月版)は、「貴族・富豪などの大家にあって、家事を監督する職。また、その人。」と、バトラーに近い語義を「執事」の第一義として掲載している。
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