地質学的研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 13:46 UTC 版)
希元素については、希アルカリ金属の簡易な分離法を考案して、鱗雲母およびチンワルド雲母からルビジウム及びリチウムを抽出した。そのうちルビジウムについては放射能を測定して産地または鉱物種による差異を調べ、ルビジウムの放射能が他の放射性元素の混入によるものではないことを確認した。また田ノ上産緑色陶土についてスカンジウムを検出、同地域の特殊高陵土中にガリウムおよびルテニウムを検出した。福井県赤谷に産する天然ヒ素は古来著名であるが、その付近の赤かっ色粘土中に著量(0.18%) のバナジウムが含まれ、これが天然の酸化還元触媒として作用することによって天然ヒ素が生成する機構を理論的に組み立て、さらに実験的に証明することができた。また能登半島に産する特殊な赤土がラテライト性土壌の一種であることを土壌の組成と土壌を酸またはアルカリで処理した抽出成分の量から推論した。また長野県山口村に産する酸性白土が共存する曹長石を含有するパーサイトに由来することを希土成分の分析値から推論した。カナダのウィルバーフォース産黒色蛍石に含有される遊離フッ素を定量するのに、試料鉱物をヨウ化カリウム溶液中に浸して乳鉢中で粉砕し、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する方法を用い、0.001% 内外であることを確認した。この論文に関連して 2012年にミュンヘン工科大学のチームが19F-NMRを用いてアントゾナイト (蛍石の一種) から単体のフッ素を見出し、天然から単体フッ素が見つかったのは驚くべきことと報告している。しかし飯盛は1932年の前記論文中で、黒色蛍石中に単体のフッ素が存在することを認識していた。
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