地質学的成因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 22:59 UTC 版)
約6000万年前の暁新世のころから北欧の大陸棚堆積体がアフリカ大陸の下部に沈み込みを開始した。つまりヨーロッパ大陸がアフリカ大陸に沈み込む形での大陸衝突型造山帯となった。約1500万年前の中新世にドーム状に地層が盛り上がって出来た。 強い圧力は衝上断層により地層にナッペと呼ばれる壮大な遠方移動を生じさせた。最下位のHelvetic nappeは北欧大陸のなごり、Pennine nappeは超高圧-高圧変成帯でアルプス造山帯の中核部、最上位のAustroalpine nappeはアフリカ大陸のなごりで、この三つがほぼ水平な断層で接している。これらがさらに高角の正断層で切断されている。 現在はプレートの相対運動の変化で、高角正断層の一部が大規模な横ずれ運動をともなう、マイクロプレート境界へと転じ、Innsbruk Lineとなっている。 今日の景観は過去2百万年間にあった少なくとも5回の氷期の氷河作用が作り上げたものである。最後の氷期が終わった1万年前に気候は大きく変化し、氷河は山脈の奥に後退し、アルプスの森林に巨大な花崗岩の遺石を残した。また、氷食によってえぐりとられ、U字谷となった渓谷の端には氷河の堆積物がたまって渓谷をふさぎ、コモ湖やボーデン湖、ルガーノ湖、レマン湖、ルツェルン湖といった細長い氷河湖がアルプス全域に散在することとなった。現在でも、アルプスには大小1,300の氷河が存在し、アルプス全体の2%を占めている。
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