地球温暖化への寄与度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 13:38 UTC 版)
「ヒートアイランド」の記事における「地球温暖化への寄与度」の解説
ヒートアイランドによる都市の高温化は、世界各地における都市化を通して、僅かではあるものの、産業革命以降の全地球的な地上気温(全球平均気温)の上昇、いわゆる地球温暖化に寄与していると考えられている。つまり、主原因ではないものの、ヒートアイランドは地球温暖化の複数ある原因の1つである。 例えば、2001年のIPCC第3次評価報告書では、ヒートアイランドが顕著な北アメリカで地上気温が10年あたり0.27℃上昇しているのに対して高度2km付近の気温も10年あたり0.28℃とほぼ同じ変化となっていて、ヒートアイランドの寄与は僅かであることを示した。さらに2007年のIPCC第4次評価報告書では、ヒートアイランド強度が最大となる風のない夜間の最低気温の上昇傾向を見ても都市とそれ以外で顕著な差が見られないことから、ヒートアイランドの寄与は大きくないこと改めて示した。そして、地球の平均気温に対するヒートアイランドの寄与の値は、1900年以降、陸上では10年あたり0.006℃、海洋ではヒートアイランドはゼロなので、地球全体では10年に0.002℃だと報告している。これは、20世紀の間に約0.6℃のペースで上昇した平均気温に対して3%程度の寄与に留まることを意味する。また、スタンフォード大学のヤコブソンらによる2011年の報告でも、ヒートアイランドの寄与は産業革命以降の温暖化の2 - 4%程度と推定されている 。また、2020年東京工科大学の江頭教授の計算結果でも人工排熱の起因は4% 程度と同様の結果になっている。いずれも、寄与があることは認めているが、それが平均気温上昇のグラフを歪めるほどの水準ではないことを示している。 しかし、ヒートアイランド現象は地球温暖化の主要因ではないが、平均気温を押し上げている原因ではある。日本の年平均気温は都市化の影響が少ない 17 地点の100 年間で平均 1.5℃上昇しているが、東京では 100 年間で 3.3℃上昇と2倍以上差があり。IPCC AR4の報告によると地球の平均気温は100年間で0.74℃上昇とされ、東京は世界平均より4倍以上上昇している。世界の気温上昇の原因は温室効果ガスが要因であると考えられるが、日本、特に都市部の近年の気温上昇は温室効果ガスよりも都市化によるヒートアイランド現象の方が影響が大きいと考えられる。
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