地獄降りのイコン=復活のイコンの一つ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 14:53 UTC 版)
「キリストの地獄への降下」の記事における「地獄降りのイコン=復活のイコンの一つ」の解説
正教会の復活のイコンにおいて主流とされるタイプは2つある。 地獄降り 墓に香料を持ってきた女(携香女;けいこうじょ)と、空の墓、および天使が画かれたもの(マタイによる福音書 28:1 - 7, マルコによる福音書 16:1 - 8, ルカによる福音書 24:1 - 8 参照) 『地獄降り』のイコンは肉体におけるハリストスの復活に先立つものとして画かれ、主の体の復活に次ぐものとして携香女たちが墓に来た姿が画かれており、この二つのイコンが互いに補完し合っている。すなわち、地獄降りのイコンは復活(復活大祭)のイコンとして扱われている。 『地獄降り』のイコンにおいては、イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)は白色もしくは金色の服をまとった姿で画かれており、地上における衣服と異なるさまは、地上での活動と異なる型としての、神性の光・復活の光をハリストスが発していることを示している。ハリストスは破って開けた地獄のドアを踏みつけ、地獄の力を象徴する鎖、鍵、釘は粉々になっており、多くの場合ドアの下にはサタンが画かれている。ハリストスの左手にはペトル前書の内容と一致した復活の説教の巻物か、もしくは死に対する勝利のシンボルとしての十字架がある。右手は墓からアダムを助け起こしているが、これは独りアダムだけを解放することを意味するにとどまらず、信を持ちつつ救世主の到来を待ち望んでいた人々を解放することを意味している。アダムとエヴァの他に、図像の左右には旧約聖書の義人達が画かれる。別のタイプのイコンでは、ハリストスは両手それぞれで、アダムとエヴァを引き上げているように画かれる。 福音書および正教の伝承はハリストス(キリスト)の復活の瞬間について沈黙しているため、伝統的にハリストスの復活の瞬間については正教会はイコンに画いて来なかった。ハリストスが復活して墓から出る場面を画いたイコンは正教会にも無いではないが、西方教会の影響を受けた所産であるとされる。
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