土師部とは? わかりやすく解説

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はじ‐べ【土師部】

読み方:はじべ

古代部曲(かきべ)の一。土器埴輪(はにわ)を作り葬儀仕事にも従事した。はにしべ。


土師部

読み方:ハニシベ(hanishibe), ハジベ(hajibe)

古代大和朝廷土師器貢納した品部


土師部

読み方:ハジベ(hajibe)

埴輪土師器などの土器製作し古墳造営あたった品部


土師部

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 09:34 UTC 版)

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土師部土部、はじべ)は、6世紀から7世紀にかけての古代日本に存在した職業部(品部)の一つ。土師連の管理下で埴輪をはじめとする土師器製造や古墳築造、およびそれらに関連する業務に従事した。

概要

日本書紀』は巻第一に、土師連のことを述べている。

天穗日命、此(これ)出雲臣・武藏國造土師連等 遠祖 也(なり)

巻第六には垂仁天皇32年の野見宿禰による埴輪作成の起源説話が見られる。その中に、

則ち使者(つかひ)を遣(つかは)して、出雲国(いづものくに)の土部(はじべ)壱佰人(いちももひと)を喚(め)し上げて、自(みづか)ら土部等(ら)を領(つか)ひて、埴(はにつち)を取りて、人・馬及び種種(くさぐさ)の物の形を造作(つく)りて、天皇(すまらみこと)に献(たてまつ)りて曰(まう)さく[1]

とあるのが文献における土師部の初出である。出雲国の土部壱佰人については、『類聚三代格』に引用する延暦16年(797年)4月23日の太政官符に、

殉埋之礼殊乖仁政、因即喚来出雲国土師部三百余人、自領取埴造諸物象進、天皇甚悦以代殉人、号曰埴輪所、謂立物是也、自茲厥後歴代相沿、緬尋古風、野見宿祢献策徃帝[2]

とあり、また『続日本紀』巻第三十六の天応元年(781年)にも、土師古人土師道長らの奏上の中にに「出雲国土部三百余人」とある[3]

『書記』巻第十四には雄略天皇17年(推定473年)の贄土師部の由来として、土師連の祖である吾笥(あけ)が朝夕の膳部に用いる清浄な食器を作るために、摂津国山背国伊勢国丹波国但馬国因幡国の諸国から私の民部(かきべ)を朝廷に進上したという話もある[4]

これらの文献や、木簡・瓦刻銘などによって、出雲国のほか、遠江国下総国常陸国美濃国武蔵国丹後国但馬国などに「土師部」の存在が知られており、『和名類聚抄』の「土師郷」「埴土郷」の分布も含めると、河内国和泉国上野国下野国丹波国因幡国備前国阿波国筑前国筑後国にも及んでいる。各地の土師部は必要に応じて朝廷に招集され、古墳築造や埴輪などの土師器の製造に従事し、あるいは、郷里で土師連の要求する物資を貢納したり、その他の古墳の築造を行ったり、都で土木作業に従事したものもいたと推定される。河内の百舌鳥古墳群古市古墳群・大和の菅原古墳群など、5世紀代の大古墳群近辺に居住し、その築造や葬礼に貢献していたものもいたと思われる。

律令制においては、治部省諸陵司(天平元年(729年)8月に「諸陵寮」となる)の伴部として土部10人がおり、諸陵正の担当する朝廷の葬礼を管掌している。『令義解』によると、土部には土師宿禰のうちから選出され、年齡や位階の上のものから「大連」・「少連」と称したという。喪葬令には、「三位以上、及び、皇親は、みな土部が礼制(らいせい)(=凶礼。喪事の儀礼)を示すように」[5]とある。

奈良時代中期(8世紀中頃)以降に火葬が普及すると、土部は次第に消滅していったものと思われる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 『日本書紀』垂仁天皇32年7月6日条
  2. ^ 『類聚三代格』巻12「諸使并公文事」2条、延暦十六年四月廿三日太政官符「応停土師宿祢等例預凶儀事」
  3. ^ 『続日本紀』桓武天皇 天応元年6月25日条
  4. ^ 『日本書紀』雄略天皇17年3月2日条
  5. ^ 「喪葬令」4条「百官在職条」

参考文献

関連項目


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